マリンブルーの誘惑【瀬名泉】

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「 最悪なんだけど。全部 俺の勘違いってこと？ 」

「 ……けど、ここまででたくさんのファンを見ましたよ。バイト帰りには幸せそうな顔をした女の子がたくさんいました。みんなを笑顔にするアイドルって凄いですね 」





相手の機嫌取りのためではなく、嘘偽りのない本音だ。

けれど瀬名 泉さんの眉間のシワは深まるばかりで、またしても機嫌を損なうようなことを言ってしまったのかと不安になり、俯く。





「 ちょっと、下ばっかみてないでさぁ 」

「 んむっ 」





片手で頬を掴まれて無理矢理 視線を合わされた。

伸ばしっぱなしの前髪の隙間から瀬名 泉さんがギロリとこちらを睨みつけていて、今すぐ逃げ出したい衝動に襲われる。

どうして、私こんなところでお説教されてるの。





「 確かにあんたのいう通りかもしれないけど、俺の目の前の女の子は一度も笑ってないんだよね 」

「 そっ……れは、私がファンじゃないってだけで 」





うわあああ、また言葉選び失敗したかもしれない。
めちゃくちゃ怒ってる、怒ってるよ。





「 ねぇ、あんた明日 予定は？ 」

「 きゅ、休日です。学校の、創立記念日 」

「 ふぅん。じゃあ、明日、正午にここに集合 」





え、どうして。嫌ですよ。

そう言おうと思ったけど、頬を掴む力が強まり、「 ん、んんんん〜！ 」と涙目で頷くほかなかった。





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