23 ページ25
−−−−
−−
.
カタン、という物音に外を見ると、お爺さんが看板を準備中に変えているところだった。
それを見て私は立ち上がり、お爺さんに駆け寄る。
「 ごめんなさい！ 勤務中なのに、話し込んでしまって 」
「 大丈夫だよ。戸締りさえしてくれたら、どれだけ話しててもいいからね。じゃあ、私は上にいるから 」
お爺さんは人懐っこい笑みを浮かべて、居住スペースとなっている二階へと姿を消した。
私は泉くんたちに断りを得てから制服に着替え、しんと静まり返った空間にまた戻る。
「 ごめん、お待たせ。話の続きだけど… 」
「 それなんだけど、話す前に色々聞いていい？ 」
「 うん。何？ 」
泉くんは長い足を組み直してから、話し始めた。
「 あんた、秋に王さまに会ったっていったけど。それ以降も交流はあったわけ？ 」
「 うん。あれからちょくちょく家に遊びに来たよ。ご飯を食べて、たまに泊まってく 」
「 えっ！ やだァ！ お泊まりデートじゃなぁい！ 」
詳しく教えてほしいと詰め寄る嵐くんを押し返して、泉くんに向き直る。
拗ねてしまったのか嵐くんは凛月くんの隣に回って、二人でなにやらコソコソと内緒話を始めてしまった。
「 王さまが…外に出たの？ 」
「 一度クラスメイトの子にあってパニックになってからは、私が迎えに行くようにしてるよ 」
「 物が飛んできたことは？ 」
「 物が飛ん、え、なんて？ 」
思わず途中まで復唱してしまったが、それでも意味を理解することが出来ず聞き返した。
嵐くんたちも話しながらもこちらの会話に耳を傾けているみたいで、時折 視線が絡み合う。
「 だから、物が飛んできたことは？ そのあたりの、ほら、何でも。本とか、枕とか、色々 」
「 ない。そんな物騒なことはないよ 」
「 …そ 」
「 泉くんはそういう経験があるの？ 」
物が飛んでくるなんてポルターガイスト現象じゃあるまいし、誰か人の手によってのものだとはと思う。
話の流れでそれはレオくんの行為だと推測できるけど、あの大人しくて優しい彼がそんなことをするとは考えられない。
「 王さまには俺も何度か会いに行ったよ。けど、喚き散らして、物にあたって、手のつけようがなかった 」
「 うそ 」
「 ほんと。けど、あんたには違うみたいだねぇ。…俺の方が、ずっと前かられおくんと一緒にいたのに 」
.
−−
−−−−
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 368人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます！ 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (
レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リリ | 作成日時：2021年9月23日 4時
