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「 あ、ありが、と 」
一年の節目の大晦日という日に、私と過ごしたいだなんてストレートに伝えられたら、流石に照れてしまう。
ポロリと、手のひらからみかんが落ちてしまい、彼がそれを手に取って続きを剥き始めた。
「 そういえば、スワは次で何年になるんだ？ 」
「 三年生。確かレオくんと同じだよ 」
「 そうか、同じか！ 」
初めて会った時より随分と笑うようになった。
嬉しくてその笑顔をじっと見つめていると、その視線に気がついたレオくんが小首を傾げる。
「 普通科は、進路も決めていかないといけないし、大事な時期だよな 」
「 ん？ まあそうだね。けど、正直まだあまり考えてないっていうのが現実かな 」
「 あんまり迷惑もかけられないな 」
「 レオくん、またそういう話？ 私はレオくんの友達なんだから頼る時は頼ってくれていいんだよ。一人で抱え込まれる方が私は心配なんだから 」
たまに彼が見せる、儚げな表情が私は苦手だ。
手を伸ばせば触れられる距離にいるはずなのに、瞬きをした刹那、泡のように消えてしまいそうで怖い。
「 スワぁ〜 」
「 ふふ、何、その駄々っ子みたいな 」
そんな表情は見間違えだったのかと疑うほどに、彼はまたすぐに笑顔に戻り、正面に座る私の手をとった。
かなり暖まったその手は、私の手のひらをスルスルと親指で撫でてから、手の甲を指先でなぞる。
「 どうしたの、くすぐったいよ 」
「 スワは、おれのこと 」
「 ん〜？ 」
「 おれのこと、忘れないでいてくれる？ 」
その言葉の奥底に隠されているであろう彼の意図を読み解くことは難しく、テレビに向けていた視線を前に戻す。
悲しげに細められた瞳と絡み合い、上手く言葉が紡げず、口を開いては閉じるを繰り返した。
「 ねぇ、レオくん、回りくどい言い方じゃ分からないよ 」
この間のこともあり、そういった言葉が怖い。
お母さんとお父さんの時のように、なんの前触れもなく突然いなくなってしまうというのは辛いから。
「 ごめん、変な意味じゃないんだけどな。ずっとスワといられたらいいなって思うけど、そうもいかないだろ 」
「 私はここからいなくならないよ。だからレオくんが私のことを忘れないでいてくれたら、私の記憶の中でレオくんは生き続ける 」
上手く、言えない。
ぐちゃぐちゃの空っぽの言葉だなぁ。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます！ 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (
レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリ | 作成日時：2021年9月23日 4時
