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「 どこか遠い所へ行こうとしてるの? 」
質問に質問で返すと、彼はそう来るとは思っていなかったのか、グッと唇を噛み締めて「 それは 」と言い淀む。
「 考えたこともない。けど、来年で三年になるのに、いつまでもこのままでいいのかなって。ゆっくり考える時間があってもいいのかなって思ったんだ 」
「 私はレオくんが笑ってくれるならそれでいいよ。だから、レオくんが好きなようにしたらいい。何かしたいと思った時の、その障害になるような存在にはなりたくないの、私 」
「 違う、違うんだよスワ。障害とかじゃなくて、そういう時におれはスワに心配かけたくないんだ 」
「 何が言いたいの? そのどこか遠い所へ行くときに私についてきてほしいの? 」
うまく伝えられなくてもどかしいのか、レオくんはブンブンと頭を振る。
ゆっくりと不安そうに伸ばされた手が、手首を掴む。
「 その時がきたら、待っててほしい 」
「 待つ? 」
「 うん。もしかしたら、スワを長い間 置いて言ってしまうかもしれない。けど、必ず帰ってくるから、その時は待っててほしい 」
あまりにも真剣な双眸に射抜かれ、身体が石になったかのように動かない。
掴まれた手首が今になって熱を持ち始め、その箇所から全身へと巡る熱に鼓動が早くなっていく。
「 それとも、おれはそこまでの存在じゃなかったかな 」
「 そ、そんなことない! 大切な友達がいなくなったら寂しいに決まってる! 」
「 ありがとう。おれにとってもスワは大切な友達だ、大好きだよ 」
柔らかく微笑んでから、ゆっくりと手が離れていく。
レオくんは「 今日のご飯は何だー?? 」と、笑顔で先を駆けていった。
「 レオくん!! 」
立ち止まったままの私は、先にいるレオくんに呼びかけた。
振り向いた彼は、思いのほか遠くにいる私に驚いた様子を見せたが、すぐにこちらに戻ってきてくれた。
「 どうした? どっか痛いのか? 」
顔を覗き込んでくるレオくんは、それはもう心配で仕方がないという表情をしていて、その優しさが胸に染みる。
私の大切な友達。
あなたがいつまでも笑ってくれるなら、どんなことでも。
「 待ってるよ私。いつでも、ここにいるから 」
「 ありがとう、スワ 」
どこか遠いところ、か………。
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます! 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです!更新頑張って下さい!! (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリ | 作成日時:2021年9月23日 4時