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__それは、漂が昌文君に連れられこの家を出ていってからひと月ほど経った、ある日の事だった
夕飯の買い出しをしていた私達は、すぐ近くにあった休憩所で一休みしていた。
「だから王宮が大変なんだって」
隣に座っているおじさん達の会話が聞こえてきた。
『信、王宮って…』
「あぁ…漂…」
そう、漂が連れられて行った場所のことである。
「うそだよ、どうせ噂だろ」
「うそじゃねェ!俺は旅商人だ
先日も王都の奥まで行ってきたんだぞ」
その内容というのは、“私達の国 秦が今大変な事になっている” という事。
“…この国の王はまだ執政できるほどのお年ではなく、全実権は呂丞相様が握っており、王宮の中にはそれを善しとしない大臣も多い。
王弟である成蟜をたてて王権を奪い取ろうと密かに勢力を拡大している ”
…だ、そうだ。
「王室の内紛はまずいぞ
国力を著しく低下させる上に、六国に知られればここぞとばかりに攻められるぞ」
…待って、今そんな大変な所に漂が居るの?
あの昌文君は一体なんの為に漂を連れていったのだろう
「呂丞相様も内紛にならぬよう尽力されていたらしいが_」
「ついに事が起きたようだ!」
『…(事…?)』
お茶を飲みながら盗み聞きすると、先日の夜、王宮に火が上がったらしい。
実際に死体が裏門から運び出されるのを見た人もいるとの事。
『王弟派が行動を起こしたんだ…』
「きっと今ごろ王宮内は血の海だ」
隣のおじさんがそう呟いた瞬間、私の前に座ってじっとしていた信が飛びかかった。
「うそだっ!!」
「うわっ何だこのガキはっ」
『信!?』
いきなりおじさんの胸ぐらを掴んでる。
まぁこうなる事はだいたい予想できた。
私だってこんな話を聞いてしまえばじっとなんてしていられない。
私も信の近くに寄ると、おじさんと話していた他のおじさん二人が私の後ろに立った。
「……先日こいつらの兄弟とも言える者が王宮に仕官したんだ…」
代わりにそう言ってくれたおじさん。
なんかさっきからおじさんおじさん連呼して申し訳ない。でもとりあえずおじさんだ。
「誰が仕官させた!?」
信に両手で胸ぐらを掴まれてるおじさんが叫ぶ
「昌文君とかいうオッサンだ」
「しょ、昌文君だと!?」
オッサンが飛び退いた。
…待って、何その反応?
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ぽえたた(プロフ) - 凄く面白いです!更新まってます! (5月16日 0時) (レス) @page20 id: 1912da167d (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 優さん» ですよねですよね!!!私あと羌瘣とか蒙恬も好きです!!←私も余談(笑) 更新頑張ります!!!! (2019年7月30日 20時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
優 - まさかのバジオウ好きですか?!私もです!絶対仮面取ったらイケメンですよね…あ、あと、毎日更新楽しみにしてます!私的には昌平君とか李牧も好きです…←すみません余談を(´;ω;`) (2019年7月29日 22時) (レス) id: 8418efb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 紫苑さん» ですよね!!!!ちゃんとそこ読んで下さってありがとうございます(;▽;)頑張りますね!! (2019年7月28日 23時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 私もバジオウ大好きです。これからも頑張ってください (2019年7月28日 21時) (レス) id: 3646c8eb7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2019年7月23日 22時