▽＿＿＿＿ ページ1
爽やかな秋晴れの日。
映画を観に行ったついでに、ちょっと高級なデパートに立ち寄った。
外見からしてヨーロピアン、買い物をするのはもちろん普段なら入店するのも戸惑うようなデパートだったが、その日は観た映画がお嬢様モノだったこともあり浮かれていたのだ。私もこんなお洒落な場所行こっかなって。
お財布の関係で商品を購入することはなかったものの、流石は高級店というべきか私のような干物女子高生が体験するには申し訳ないほどの素敵な時間を与えてくれた。ショッピング(何も買わないけど)最高。
私は映画にもデパートにも満足して浮かれていた。何度も言うが本当に浮かれていたのだ。だからだろうか、上機嫌でさあ帰ろうと乗ったエレベーターで大失態を犯した。
七階から降りてきたエレベーターに五階から乗り込む。この時点で、掃除が行き届いたエレベーターには三人の男性がいたのだが、彼らが明らかにおかしかった。
(…やくざ？)
黒スーツにサングラス。おまけに三人中二人は筋骨隆々、一人はハッとするほど鮮やかな赤髪。極道とかマフィアとか色々な単語が浮かぶが、この三人は間違いなくそのどれかだと思う。裏社会に生きてます感が強すぎる。
ここで愛想笑いして逃げれば良かったのに、勘の鈍い私は冷や汗をかきながらも遠慮がちに乗り込んでしまった。親切なことにボタン操作を請け負ってくださり、私は自然と奥の方へと追いやられる形になる。
チン、と無機質な電子音が響いたきり、エレベーター内は終始無言だった。息をするのも躊躇うほど緊張する。
決して睨まれていたわけではないが、蛇に睨まれた蛙ってこういう気分なんだろうなとおもった。もうこの人たち雰囲気で睨んでくるというか威圧がすごいんですよマジで。
また音がして一階に到着する。ボタン操作をしていない男性二人が下りるのを待とうとしたが、動く気配がない。おまけに赤髪の男性に「お先にどうぞ」と手で促されてしまった。
(え、なに何で？下りないの？)
疑問は山ほど沸いてくるけど、変に断わるのも良くない気がする。もう怖くて緊張して膝が笑ってるけど悟られないように、そして急いで。下りようとしたんだけど、緊張のしすぎで足がもつれた。あ、と思った時にはもう遅い。視界が反転したような感覚になる。転んだらだめだ、と私の手は反射的に何かを掴んだ。
それが、赤髪の人のズボンだなんて夢にも思わずに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ろんでるで(プロフ) - 愛河Ayaさん» コメントありがとうございます〜！書き方は少々工夫しているので、そう仰って頂き光栄です。応援ありがとうございます！ (2022年1月16日 11時) (
レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
愛河Aya - 書き方が好みなのとお話やパロがすごく好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (2022年1月15日 23時) (レス) id: 46595dc54d (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - ハツル氏さん» コメントありがとうございます〜！更新頑張りますね。応援ありがとうございます！ (2022年1月8日 0時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - 凛月花さん» コメントありがとうございます〜！描写や構成は力を入れた部分なので、お褒めいただき嬉しい限りです。前作に続きお読みくださりありがとうございます！ (2022年1月7日 23時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ハツル氏 - いつも応援してます！更新頑張ってください！ (2022年1月7日 20時) (レス) id: 5982f92ed4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ろんでるで | 作成日時：2022年1月6日 18時
