10 ページ10
．
一般人であろう女性組2人が、私を見た途端声を漏らした。
「えっ！？ちょっとあの人…！」
「ま、まさか…」
そう言って彼女たちは、手に持っている紙に映っている我々国の姫と私を交互に見比べる。
ここで騒がれたら、そのうち他の人たちもやって来てしまう。何とかしないと。
彼女らの意識が私に向いている間に、隣にいるシャオロンからキャップを奪い取って、彼に被せた。
姫と一緒に居た男性、だなんてレッテルを貼られたら後々彼に迷惑をかけてしまうだろうから。
「ほんとに見つけちゃったよ…」
「でも光栄じゃない！？姫様をこんな近くで見られる日が来るなんて！めちゃくちゃ美人…！」
目をキラキラ輝かせる、私と同じ年齢ぐらいの2人。
そうだ、私を慕ってくれているならこの方法で…
『ごめんなさい、私のせいで今この国の方たちに心配をかけてしまって…けれど、私にもちゃんと理由があるんです。勝手なのは分かっていますが、どうかここで私を見つけたことは口外しないで貰えませんか』
「あ…で、でも姫様、」
『お願いです、』
心配の色が見える彼女たちに私はそっと近付き、2人の内の1人の手を両手で包み込んだ。
『ここで出会えたこと、私たちだけの秘密にしましょう？』
そう言って微笑むと、目の前の彼女たちは顔を赤くして、ぼうっと私に見とれた。
我ながら、自分って本当に美人なんだなとぼんやり思う。
「は、はい！誰にも言いません…！」
「やばい、可愛すぎる…」
『ありがとう』
良かった…素直な人たちで助かった。
とりあえずここから離れようと、私はずっと黙っていたシャオロンの手を引いて歩き出す。
すると、彼女たちがはっとしたように言った。
「そ、その方は誰なんですか！？」
「もしかして、恋人だったり…」
私は立ち止まって、もう一度彼女たちの方を振り返り、自分の口に人差し指を当てた。
『内緒ですよ』
きゃーっ、と嬉しそうに興奮している2人を置いて、今度こそここから離れる。
繋いでいる彼の手が、ぴくりと揺れた気がした。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 863人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
稲荷(プロフ) - お体気おつけてくださいね(*^^*) (2021年6月10日 20時) (
レス) id: b62dcac460 (このIDを非表示/違反報告)
(^O^) - おぉ!マンちゃんここで登場!シャオちゃん？!Σ(ﾟДﾟ) (2021年5月22日 20時) (レス) id: 54e5655bfa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤月セレン
| 作成日時：2021年5月16日 23時
