【d!】絶望的な愛情を【短編集】 (ページ5)

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【kn】鬼ごっこの結末ページ5

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「ここは危ないかもしらん。あんさんは逃げろ」

『ろ、ロボロも一緒に行こうよ！』

「2人で行動する方が音たって危険やねん。大丈夫や、Aやったら1人でも脱出出来る」

な？と桃色の瞳が強く光る。頼もしいロボロに背中を押され、私は彼と一緒に隠れていた場所から駆け出した。

もう他に誰の気配もしない。ここ最近見た人と言えばロボロとトントンぐらい。皆、殺人鬼にやられてしまったのか。

せめて出口の近くまで移動した方が良いだろう。もうしばらくしたらエンダーパールが発動される。それを出口の奥まで投げてしまえばこちらのものだ。

ぎゅ、とまだ役目の無いエンダーパールを握り締めて新たな隠れ場所でじっと耐えていると、きらりと何かが遠くで光った。

あれは…光るポーションだ。光っているのは恐らく殺人鬼。でも確かそのポーションを持っていたのって…

じわっと浮かぶ涙を必死に拭う。
まだ、ロボロがやられちゃったなんて決まってない。きっと彼なら、光らせて逃げ切った筈…そうだよ、きっと。

『もう少し…もう少しだから』

迫り来るその時を待っていると、遂に出口が開いた音がした。

行かないと、早く。

雑音をたてないようにゆっくり立って辺りを見渡し、出口の方を見ると丁度トントンがエンダーパールで脱出していた。

私はその後ろ姿に酷く安心して、足を動かした。

『とんとっ…』

その瞬間、真後ろから殺気を感じ取った。
それと同時に、私がエンダーパールを投げようと振りかざしていた手を誰かに掴まれた。

「やーっと見っけた。どこおってん」

普段と変わらない声でそう言った彼。けれど、もう私の知っている彼では無い。

『こ、ね…しま、』

後ろを振り向けば、あの人懐っこい笑顔を浮かべているコネシマ。いつもと違う所と言えば、返り血がついた顔と服、そして右手に持っている真っ赤に染まった斧。

震えが止まらない。私もここで殺されるのだ。
恐怖で力が抜け、座り込みそうになる私をコネシマは片手で軽々と受け止めた。

「なんでそんな怖がんねん。幸せやろ？これからここでずっと2人で一緒に暮らすんやで。トントンは逃してもうたけど、他は全員お前のために殺したんや。誰にも邪魔されんから安心せえ」

私の頭を撫でるその手は優しい。けどその手で皆を殺めたんだと思うと吐き気がする。

「…ロボロの匂いするなぁ」

家で消毒しよな。そう耳元でぼそりと呟かれ、私の意識はここで途切れた。