07 腐れ縁 ページ8
・
「よォA。今日は暇だよな〜遊びに行こうぜ」
『お前らの遊び最近物騒で私が死ぬんだよね』
蝉がやかましく鳴き始めた蒸し暑い初夏。
数か月前に中学に入学したばかりなのに時間が経つのはあっという間だ。もう学校生活にも慣れてきた頃である。
放課後を迎えた帰宅部の私に残されたミッションは寄り道せず帰路を辿ることのみだ。がしかし、なかなか真っ直ぐ帰らせてくれないのがこの幼馴染、灰谷蘭だ。
こいつとの出会いは幼稚園のとき。あまりにも幼かったため記憶は曖昧だが、同い年の竜胆と遊んでいるときに突然蘭が現れ「おもしれーおんな」と言われたのが始まりだった。可愛くねえガキだな。今現在こうなるのも頷ける。
そこからずっと付きまとわれている。実に嬉しくない。
『そういえば今日塾があったんだった』
「塾がないのは竜胆から把握済み」
『チッ、裏切り者め…』
最近蘭に言うなよっていう口約束だけじゃダメになってきた。何か貢ぐしかないのか…と思考を張り巡らせていると話の当人がいないことに気付いた。
『んでその竜胆は？』
「日誌出しに行ってる」
『ちゃんと中学生やってた、ウケる』
日誌というワードがこんなにも似合わない中学生がいるだろうか。言わずもがな、この灰谷兄弟である。
気まぐれで学校に来るこいつらに、先生たちはいつも頭を抱えている。横暴(主に兄)で不良で金持ちとなると相当扱いにくいのだろう。それな。私も未だに関わり方が分からない。
そして灰谷兄弟が気まぐれで学校に来た日は、休み時間、昼休み、放課後に高確率で絡まれる。とんだ迷惑だ。
「最近できたクレープ屋行こうぜ」
『え、食べたい』
「チョロ」
本日は放課後にスイーツを楽しむなんて可愛い予定らしいが、最終的にそれだけで終わらないことは昔から身をもって学んでいる。がしかし、私は甘いものには目がなく高確率で蘭が奢ってくれるので付いていく以外に選択肢がない。
「餌付け成功」と上機嫌な蘭を横目で見ながら竜胆を待つのであった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏 - どうしてッッッッ！更新停止しちゃうんですかぁ…面白いのに…頑張ってください！更新待ってますからね！o(｀Д´*)o (2022年11月22日 16時) (
レス) id: 59220ffc51 (このIDを非表示/違反報告)
Ayuri**＠作業厨 - すごく面白かったです！更新頑張ってください！ (2022年10月10日 21時) (レス) @page11 id: c6d792f109 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：成瀬 | 作成日時：2022年8月31日 17時
