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『え、蘭だよね?マジで蘭?三つ編みどこに置いてきたの?』
「…。はあ〜〜、ちょっと黙っとけ」
どうすっかな、とガシガシ頭を掻いた幼馴染であろう人物はチンピラ供2人に目を向けた。蘭の一番大事なもの(三つ編み)がなくなってて理解が追い付かない。嘘だけど。
「この案件の奴らの情報確認してなかったけどターゲットは本当に結城Aで間違いねえな?」
「は、はいもちろんです」
チンピラの1人が怯えながらそう答えると、私の目の前にいるこいつはそれはもう大きい溜息をついた。そして何か吹っ切れたのか知らないが「そっかあ〜」とこちらを向いてニヤリと笑みを浮かべる。それに思わず身震いする。
ああ、この感覚久しぶりだ。変わってない。何かを企んでいるときの表情。これぞ本物の恐怖だ。
ゆっくりと口を開く蘭に身構える。
「どうせあの会社倒産するし、お前明日から俺のとこで働け」
『え?』
「はい決定。とりあえず一緒に帰んぞ〜」
『いや待って情報が追い付いてない』
何故か急に上機嫌になったこいつの思考回路は相変わらず読めない。力強く手を引っ張られたとき、蘭の香水がふんわりと鼻腔をくすぐった。あ、懐かしい。じゃなくてだな。
『ねえ』
「…」
『ねえってば』
「モンブラン1個で1分話聞いてやるよ」
『じゃ、じゃあ買ってくるから手ぇ離してくんない?』
「時間ない、却下」
『ああハイハイハイこの何言っても拒否権ない感じ懐かしいな!クソが!』
三徹目のおかげでもとから抵抗する気力もほとんどなかったが、この男を目の前にすると完全に消え失せた。引かれるがままに付いていくけどちょっと一旦立ち止まってゆっくり話さないか?
てか会社倒産すんの?私が今まで死に物狂いで働いてきた意味は?てか蘭、アンタどう見ても堅気の仕事してないじゃん?確かに数十分前までは刺激のある生活恋しい的な回想してたけどあれは思い出に浸ってただけであって今は昔みたいな無茶したくないよ?なあ?一旦私の話を聞け?????
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奏 - どうしてッッッッ!更新停止しちゃうんですかぁ…面白いのに…頑張ってください!更新待ってますからね!o(`Д´*)o (2022年11月22日 16時) (レス) id: 59220ffc51 (このIDを非表示/違反報告)
Ayuri**@作業厨 - すごく面白かったです!更新頑張ってください! (2022年10月10日 21時) (レス) @page11 id: c6d792f109 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬 | 作成日時:2022年8月31日 17時