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なんか派手野郎の顔見てたら、なんでくっそしょうもない事で悩んでたんだろう?と不思議なぐらい疑問に思えてきた。
馬鹿馬鹿し、さっさと入ろ。
足を踏み出し、派手野郎の隣を通り過ぎようとした瞬間。
『いだだだ!』
「あのなぁ、言うことねぇのかよ」
『は?』
唐突に頭を鷲掴みされ、変な声が漏れた。何かと思ったら、言うことだぁ?……ああ、
『生きて帰ってる時点で分かってると思うけど合格しましたー。どんどんぱふぱふーおめでとう自分』
死んだ目と棒読みをして派手野郎に報告すれば「ちげーよ!」とさらに手の力を強くされた。ギブギブ!頭かち割れるわ!!
何!?何が違うかったの!?せっかく合格したのに私ここで死ぬの!!?
全力で派手野郎の腕を叩くが、力では到底勝てそうにない。
チッと舌打ちをこぼし『ナンデスカ』と諦めて睨みあげれば、派手野郎は珍しく柔らかい笑みを浮かべ、手の力を緩めた。
「A、おかえり」
『…………は?』
たっぷり間を置いて、かつてないぐらいぽかんとした表情を浮かべ素っ頓狂な声を上げた私。
それを見た派手野郎は「ぶはっ!どんな顔してんだよ」と笑う。
「は?じゃねえっつの。知らねぇようだから教えてやる。こういうときは“ただいま”って言うんだよ」
『え、』
「ほらほらァ〜」
『……なんかうぜえ』
無視して屋敷に入ろうとすれば、また頭を鷲掴みされた。痛いって!!
どうやら言わないと入らせてくれる気はないようだ。
そんなに言わせたいか!?
ーーーと言うか、なんでこんなに時間かけてるんだろうか。一言言うだけで終わるのに。馬鹿だな、早く終わらせよ。
そう溜息をつき、口を開いた。
『えっと、……ただいま』
「おう!おかえり」
なんとなく目を逸らしてしまったけど、言った途端頭を掻き回してきやがった派手野郎。
『お、おい!やめろよ!』
「流石俺の継子!難なくド派手に合格すると思ってたぞ!」
『……当たり前』
その派手野郎の大きな手は温かくて、なんだか振り払おうという気にはなれなかった。
慣れないこの感覚にちょっとだけ居心地がいいと感じてみたり。
久しぶりに、自然と笑顔が零れた気がする。
『(こういうの、悪くはないかも)』
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リリー - 善逸と面識あるって分かったとき「いやぁぁぁぁあ!!!!善逸ぅぅぅぅぅぅ!!!!(歓喜の叫び)」ってなった。 (2021年6月3日 5時) (レス) id: 6d42949a76 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - すずなさん» 返信遅くなって申し訳ありません!まさにそれです!!語彙力皆無なのに分かっていただけて嬉しい.........!感激です!!更新頻度とてつもなく遅いですがどうかこれからもお付き合いしていただけるとうれしいです! (2021年1月1日 11時) (レス) id: 0005ea8ca7 (このIDを非表示/違反報告)
すずな(プロフ) - 面白いです!あと岩の訓練のやつってハンターハンターですか?グリードアイランド編の! (2020年5月23日 9時) (レス) id: 5706aaffc1 (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - ばーどさん» コメントありがとうございます!えっっめっちゃ嬉しいです!!私が悪いんですけど不定期更新のことをポジティブ的に言っていただいて本当に嬉しいです笑不定期ではありますが頑張ります! (2020年4月15日 17時) (レス) id: 0005ea8ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ばーど - このお話大好きです!不定期更新でもいつ更新されるかわからないドキドキ感があるので焦らず更新頑張ってください! (2020年4月12日 22時) (レス) id: 12bcc99cbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬 | 作成日時:2020年1月7日 15時