【鬼滅の刃】存在がうるさい。

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｢これを言ったとき女のガキは泣いて怒ってたなァ。その後動きがガタガタになったからな、手足を引き千切ってそれから、｣





鬼がそこまで言った途端。

炭治郎は刀を構えながら地面を思い切り蹴り、鬼との距離を詰める。顔には怒りが滲み出ていた。

そんな怒りで我を忘れ無我夢中に刀を振り回す炭治郎に他人事のように思う。





『(……あれはダメだな)』





戦いの場において、怒りで冷静さを損なうのは危険だ。周りがよく見えなくなってしまう。

今の炭治郎がそれだ。

暴れまくる鬼のたまに飛んでくる攻撃を防ぐことに専念する。

炭治郎は苦戦しているっぽい。

と、しばらく静観していると炭治郎が吹っ飛ばされた勢いで背中を木で強打し気絶した。えまじで？

ニタァと気持ちる悪い笑みを浮かべる鬼は炭治郎に近づいていく。





『……これは私が応戦しなくてはいけないやつデスネー』





めんどくせ、と小さく零すと同時に後ろで男が動く気配がした。ちらりと視線を向けるとそこには足を震えさせながら逃げようとする背中が見えて。それに舌打ちをした。

おいおい鬼引き付けといて自分は逃げるとかアリ？

それに君それで戦えんの？私たちといた方が今のとこ安全な気がするけどなあ。ま、もうどうでもいっか。



ふぅ、と刀を握り直しさっきより集中してみる。

人が死ぬことには耐性あるし、前は何も感じなかった。最優先するのは自分の生死で、他人のなんか常に無関心だった。

それなのに。

私は地面を強く蹴っていた。ちょっと会話したからかな。情でもできたのかな。

万が一前の仕事に戻ったらこんなの無意味なのに。



___漣の呼吸 肆ノ型 波濤(はとう)



漣の呼吸唯一の突き技で、炭治郎に伸ばしかけていた鬼の手を突く。

一瞬にして距離を詰めた私に、鬼は顔を歪ませた。





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