【鬼滅の刃】存在がうるさい。

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『(でも、恨み買いまくってるから命狙われる可能性は低くないんだよね。どうしたもんだか……)』





この綺麗な刀では、人は斬らない。絶対に。

言い聞かせるように、心の中で何度も繰り返した。

……正当防衛のために小刀ぐらいいるかな、と考えてしまっている時点で意志が弱いのだけれど。

そんなに生に執着もないし、殺されかけたらそのまま殺されたらいいだけなのに。なんで生きようとしているのだろうか。

そんなことを考えているとは露も知らないであろう鋼鐵塚さんは、荷物を持って立ち上がった。





｢じゃ、宇髄さん。俺ァ帰りますわ｣

｢おう。遥々ありがとな｣

『ありがとう、ございました』

｢念のため言っとくがな！刀折るんじゃねえぞおお！｣

『うるせー！分かったって！』





長い廊下を歩き、正門に来るまでこっぴどく言われた。しつこい、しつこすぎる。

そして私と派手野郎と嫁3人で見送る直前。

鋼鐵塚さんは｢最後に｣と続けた。





『だから分かっ』

｢てめぇ死ぬんじゃねえぞ。まだ14なんだから。生き残れよ｣

『え』

｢では宇髄さん、ご達者で！｣

｢おーう｣

『……』





なんとなくここまで持って来てしまった刀を見つめる。なんか、その重みが今ちゃんと分かった気がする。

鋼鐵塚さんの背中に頭を下げた。

そして、屋敷の中に戻ろうとする派手野郎たちにある疑問を投げかけた。





『あの、皆さんってどんな人でも死んで欲しくないと思いますか？たとえ、悪人とかでも』





純粋な疑問。

自分でも驚いた。聞くつもりはなかったのに自然とこれが出てきたのだ。

嫁さんたちは突然の質問に驚きつつも｢どうしたの？もちろんよ｣と答えた。





『……宇髄天元サンは？』

｢なぁ、前から思ってたんだけどその宇髄天元サンってやめねえ？｣

『は？』

｢なんか俺だけ距離あるみたいじゃん｣

『そうだけど？』

｢はァ！？｣





こいつ……！質問すりかえてきやがった。許さねえ。





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