【鬼滅の刃】視界がうるさい。

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宇髄天元side




Aに足音を消して近付くと、手を伸ばせば届くか届かないかぐらいの距離で気付かれる。

流石にここまで近付くと足音ではなく気配で気付いたんだろうか。

弾かれたように振り向いたAは、俺の姿を捉えるとほっとしたように安堵の息を漏らす。





『び、っくりしたあ……』

｢怪我はどうだ？｣





ま、悪化したフリしようって考えるぐらいなら大したことないんだろうけど？？

後ろから覗き込めば、『ヒィッ』なんて声を上げるクソガキ。

傷を見た途端、目を丸くした。





｢は？｣

『な、なんだよ。何キレてんの？キレ症ですか？』

｢キレてはねぇよ。それ本当に痛くないのか？｣

『痛くな……いや、痛い！動けないぐらい痛い！』

｢はいはい嘘つくな｣

『失敗した……思わず本音が！』





やらかした！と頭を抱えるAに早く包帯を巻くよう促す。Aの前に胡座をかいて座った。

この怪我で痛くねぇって……感覚おかしいんじゃねぇの？

つい顔を顰めたくなるのほどの怪我だった。まだ血は止まる気配はないし、傷は深い。

淡々と新しい包帯を巻くAの手付きは、包帯を巻くことに慣れているようだ。





｢(ただの強がりで怪我を我慢してるって訳でもなさそうだな)｣





むしろその逆だ。強がりと言うより弱がりが当てはまるやつだ。

負けず嫌いではあるが、相手を油断させるつもりなんだろうか、こいつは自分を弱く見せようとする癖がある。

こんな酷い怪我でも痛くないっつーことは、怪我をすることにも慣れているのか？

そんな思考を巡らしながら、Aの包帯を巻く様子を見つめた。





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