検索窓
今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:2,861 hit

嘘八十と七つ ページ37

太宰と別れた後、自宅に戻った真依と国木田は午前一時まで太宰の帰宅を待った。

しかし帰ってこなかったため、二人は就寝することにした。

「ふわ〜」

真依はベッドから身体を起こした。

目覚まし時計を見ると五時半だった。

土曜日で授業がないためまだ寝ていても平気なのだが、つい癖で目が覚めてしまったらしい。

さすがに睡眠時間が少なかったが、家事に休みはないと思って、いつも通り洗濯と朝食作りに謹むことにした。

リビングに出ると、国木田は寝袋で寝ていた。

太宰のいない時くらいベッドを使ってもいい気がしたが、本当に寝袋で大丈夫な人のようだ。

そのたくましさは見習わねばならない。

まず洗濯機を回し、今日の朝食は何にしようと冷蔵庫を開けた時のことだった。

「キミ、起きていたのか」

太宰が帰ってきた。

「朝食、作るところかい?」

「ええ。
太宰さんも食べます?」

「空腹だし、そうしようかな」

太宰は欠伸をしながら上着をテーブルに投げ捨てると、ソファーに座ってテレビをつけた。

さすがに騒がしく感じたのだろう。

国木田が目を覚ました。

「太宰、帰ってきたのか」

「うん、たった今ね」

「市野江 慈恵はどうだった?」

国木田は身体を起こし、枕元に置いてあった眼鏡ケースから眼鏡を取り出した。

「お姫様は今頃夢の中さ」

「そんなことは聞いていない。
昨日の会話の裏がどれだけ取れたのかを聞いている」

国木田は床に手をついて立ち上がると、コーヒーメーカーを起動させた。

「裏も何も、キミが脅しすぎて宥めるので精一杯だったのだよ?
この時間まで帰れなかったのも、彼女が怯えて寝られなかったせいさ」

「それでも何か情報は取ってきているんだろう?」

太宰はやれやれ、と呟いて話し始めた。

「慈恵さんが地下駐車場にいて、その時奥苑 未玖がいたのは確定だ。
またその時葉摘 来栖も一緒にいて、葉摘 来栖の車でどこかに行ったことも確実だろう」

「市野江 慈恵は同乗していないのか?」

「話を聞く感じではしていないかな」

「誘拐するには葉摘 来栖一人では心もとないだろう。
誰か他に同乗していたのか?」

「適当に葉摘 来栖周辺の人物の名を挙げたけど、どれも反応を見せなかった。
だから私は自発的に奥苑 未玖が車に乗った案を推す。
それならば葉摘 来栖だけで充分さ」

「つまり奥苑 未玖は葉摘 来栖から脅迫を受け車に乗った、と?」

嘘八十と八つ→←嘘八十と六つ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 5.5/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン
感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アオ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。