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嘘五十と二つ ページ2

「でも犯罪をする人が嘘をつくのって、別に珍しいことじゃないと思うんですが」

「最もな意見だな。
問題はその嘘の異常さと『友達』の存在にある」

「よく分からないんですが・・・」

「じゃあ試してみるか」

国木田が太宰に目配せする。

太宰はやれやれといった感じで頷いた。

「そうだや・・・太宰はキミの弟を殺した殺人犯で、俺はその共犯者だ。
俺とキミの弟は知り合いで、俺が呼び出しら太宰が包丁で刺した。
包丁にら太宰の指紋が残っていた。
しかもキミの弟のスマホには俺から誘い出すラインがあった。
キミは俺に何を聞く?」

「えーと・・・。
このライン、送ったのは貴方ですよね?」

「知らないな」

いきなり否定されて、真依はたじろいだ。

「でもラインは確かに貴方のものです」

「別の誰かが送ったんじゃないのか?」

「スマホを無くされたんですか?」

「さあ。
スマホが夜、一人で散歩に行ったのかもしれないな」

「じゃあ無くしてないんですね?」

「そもそもそのラインには国木田 独歩と書かれているが、それは誰なんだ?
俺は田邊 真司という名前だ」

「えっ、でも・・・あなたは国木田 独歩さんですよね?」

「だから田邊 真司と言っているだろう」

これでは堂々巡りだ。

真依は切り口を変えてみた。

「あなたは太宰さんと知り合いですよね?」

「知らないな、そんなやつ」

「あなたが私の弟をメールで呼び出して、太宰さんが包丁で刺したんですよね?
包丁からは太宰さんの指紋も出ているんですよ」

「キミの弟なんて知らない。
それにだなんてやつも知らない」

「もう全部証拠があがっているんですよ?」

「でっち上げはやめてくれ。
俺は忙しいんだ、帰ってくれ。
・・・と、まあこんな感じだ」

国木田が肩から力を抜く。

シュミレーションは終わったのだ。

真依はどっと疲れた気がした。

「証拠があがっていてもこの様だ。
証拠がなければ太宰まで辿り着くことさえ困難だ。
『嘘憑き事件』ではこういう嘘をつく人間が複数発生する」

「やっぱりトリックとかあったりするんですか?」

「ミステリー小説やドラマの見過ぎだ。
そもそも事件にトリックがある場合の方がずっと少ない。
せいぜい偽装だな。
ある意味狂言も偽装の一種だから、トリックと言えるか?
いや、やっぱり違うな」

「あ、そうですか・・・」

真依は自分の無知さが恥ずかしくなった。

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作者名:アオ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 23時

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