プロローグ1 ページ1
マルカが幼なじみのレグとこの村に来たのは、まだ最近のことであった。
レグと宛もなく旅をしていた時、マルカが山道を踏み外して崖から転落しかけた際、村人のリッターに助けられたことがきっかけだった。
ここは元廃村。壊れかけの家々を修理し、畑を耕し、自らの住処にしようと、あちらこちらから色んな事情を抱えた人々が集まって来たのだった。
そして、その村が今、完成しようとしているのだ。
今日の畑仕事を終えたマルカは、小さな丘の上でうとうとしていた。ふと、自分の名を呼ぶ声に気づく。
「マルカ。起きろよ、マルカ。」
声の主はレグ。側にはヒナを連れている。
「マ、マルカさん。リッターさんの家の修理が完了したそうなんです...!一緒に見に行きませんか?」
ヒナはマルカの顔を覗き込むと、おどおどしたように笑った。
「リッターさんの...ということは、村中の家の修理が終わったってことなんだね?」
マルカは、レグに助けられながら嬉しそうに立ち上がる。
マルカがヒナの手を取り歩き出そうとすると、草陰からヒカルが飛び出してきた。
「やあみんないいところに!ぼく今ね、食べられそうな草を探してたんだけど...これってどうかなぁ?」
「び、びっくりするじゃねえか、ヒカル!急に飛び出して来るなよなまったく!...ああ?草?植物ならマルカが専門だろ。」
レグがマルカに目配せすると、マルカはヒカルから植物を受け取る。
「うーん、これは...ハシリドコロですね。毒性が強くて食べられません...。」
「そっかぁ〜。美味しそうなのになあ。」
ヒカルはその毒草を受け取ると、ポケットにしまう。
「毒なんだろ?扱いに気をつけろよヒカル。...にしてもすごいなマルカ。見ただけで何の植物か分かるなんて。」
「ここら辺の植物については前に先生に教えてもらったの。」
先生とは、この村最年長のノラーバ。村の子どもたちに勉強やらを教えてくれていた。
特にマルカは熱心で、植物分野で言えば右に出る者はいないと言っても過言ではなかった。
「マルカさん、、今度私にも教えて下さい。」
ヒナがマルカの服の裾を引っ張る。そんなヒナを、マルカは優しく撫でるのだった。
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作者名:弧六 | 作成日時:2018年1月14日 21時