5 ページ6
その日の夜、リムルに呼び出されたサキとサナは木造で建てられた会議室に来ていた。
｢———20万のオーク……その本体が大河に沿って北上している。そして、本体と別働隊の動きから予想できる合流地点はここより東の湿地帯｣
｢つまりリザードマンの支配領域ということですな｣
リグルドのその反応にソウエイが頷くと、サキとサナが付け加えて話を始めた。
『さっき私とサナもソイツらのことを見たけど、その本体の中にオークの肩に手枷で繋がれた子がいた』
｢私とサキは鼻が利くからその子の匂いを風に乗せて嗅いだら、見知った匂いだった｣
｢なるほどな、それより20万か……実感が湧かないほど馬鹿げた数だな｣
リムルは全員に聞こえる声でオークの目的について考えていると、その言葉を筆頭にそれぞれが考えていることを話し出した。
｢魔王が絡んでいるかどうかは分からん。だが……｣
｢だが？｣
｢オークロードが出現した可能性は強まったと思う｣
｢数百年に1度生まれる、ユニークモンスターだっけ？｣
会議が進んでいく中、サキとサナは小声でその時嗅いだ匂いの元となる者の話をしていた。
『あの匂い、サナは大まかな考えとして誰だと思う？』
｢仮にそうだとしたら……クロナかナシロのどちらかだと思うの｣
『アオギリの樹の準幹部として名を挙げた私たちにあの時、嘉納と合わせたのがエトだったから？』
サキのその言葉にサナが小さく頷くと、今度は聞こえる声のトーンで2人は話を続けた。
『確かクロナとナシロはあの時CCGの鈴屋だとか言うやつと面識があって、アイツのクインケで重症を負ってたよね』
｢うん……だとしたら、クロナかナシロどちらかの可能性が高くなるから｣
その2人の会話にリムルが割って入ると、その場に集まった全員に説明をした。
『私たちが当時組織で護衛をしていた方がビックマダムという方で、クロナとナシロから聞いた話だとその鈴屋って言うやつは小さい頃に飼いビトだったそうなんです』
｢飼いビト？｣
｢文字通り人間を私たちのような喰種が飼うこと……鈴屋は飼いビトの時期が長かったから痛覚は無くて、それでいてどこをどうやったら人や喰種がちゃんと壊れるかわかるそうです｣
リムルたちはその事を聞いて肝を冷やしたりしていたが、2人の話に出ていたクロナとナシロについても聞いた。
｢なぁ少しいいか？｣
『はい、ベニマルさん』
｢話に出ていたクロナとナシロと言うやつなんだが、俺たちの村を襲撃したオークの大群の中に白いフードを身に纏った奴がいたんだ｣
その事を聞いて2人は風に乗って嗅いだその匂いが間違いなくシロナであることに気付いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レナ | 作成日時：2023年11月29日 2時
