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日本の首都、東京———。
人間社会に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人“喰種”が蔓延するここ東京ではこの日、20区殲滅戦が行われていた。
双子の姉妹であるサキとサナはアオギリの樹の準幹部であるため、後ろに多くの部下を引き連れながらも敵対組織である喰種捜査官を探していた。
部下を各方角に散開させた後に着いたとあるビルの屋上で、白髪に眼鏡をかけた捜査官がサキたちに背を向けていた為、サキが先に話し始めた。
『お前がCCGの死神、有馬貴将だな?』
「今日のこの戦いには私たちアオギリの樹も参加している……お前にお父さんとお母さんを殺された時の事は1度だって忘れたことは無い」
サキとサナがマスクの下でそう言うと、有馬は何も言わずに静かにサキたち2人に目を向けると、持っていたクインケを取り出した。
『お父さんとお母さんに死んで詫びろ!』
「お姉ちゃん、行こう」
『勿論』
雪が降る中でもサキとサナはお揃いのレザーのロングブーツで有馬に向かって駆け出し、交互に攻撃を仕掛けたがだんだん2人の体力が落ちて来たことに気がついた有馬はとどめを刺すかのように先にサナの体にクインケで致命傷になる傷を入れた。
「あっ……」
『サナっ!……有馬ーー!!』
サキは遂にマスクを脱ぎ捨てて泣きながら赫子で攻撃を仕掛けるも、体力が落ちていたこともあり有馬はサキの後ろをとるとクインケで同じように致命傷になる傷を入れた。
『お、とうさん……おかあさん……ごめん』
「……」
有馬はサキが片割れのサナの元に這いずりながらも手を握ったことを確認すると、その場から早々に立ち去って行った。
『(なんでこんなところで終わるんだろう……アオギリの樹に入って私たちは強くなった。
もう少しで幹部になれるはずだったのに……幹部にさえなれば、お父さんとお母さんの仇、取れたのにな……)ごめんね、サナ———』
雪の降る中ビルの屋上で辺り一面、サキたちの血で染った地面にサキとサナは身を寄せ会いながら一筋の涙を零して2人の生涯は幕を閉じた。
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作者名:レナ | 作成日時:2023年11月29日 2時