怪盗の兄、公安、組織の一員…これ、トリプルフェイスか？Ⅷ (ページ7)

今日:2 hit、昨日:36 hit、合計:68,895 hit

三百四十五話ページ7

沖矢side

布施さんの話から聞いてみてもそれが波土禄道を殺す動機にはなりそうもない。
例の話を布施さんが彼にしたのも登山し、下山する前だったようで、その揉め事の後は彼も気を鎮めて下山していたと。

どうやら二人とも登山が趣味でライブの後は夜中から山を登り始めて、山頂で朝日を見ながらコーヒーを飲むのがルーティーンだったそうだ。
波土禄道のデビュー前は徹夜で作曲した後はカフェでコーヒーを飲んでいたらしい。

登山といえば梶谷さんも登山部だったが、彼は幽霊部員。
ザイルの結び方もわからないらしい。

目「登山部ならロープの扱いに慣れていそうだが…」
高「今回の犯行は無理そうですね…」
梶「おい、どういうことだ？波土はロープで殺されたのか？」

波土禄道はステージで肩にギターをかけたまま首をロープで3メートル近く釣り上げられて死んでいた。普通に考えて他殺だろう。

梶「だったら熱狂的なファンの仕業かもしれねぇぞ？波土は、ブログでよく《死ぬ四期は、ステージの上で果てたい》って呟いていたからよ…ファンがその望みを叶えたんじゃねぇか？」

そんなこと呟いて殺されたんじゃ堪らないし、警察も出動するような事件にまで発展するようなことを起こされたんじゃ手がいくつあっても足りないだろう。
あくまでものの例えだ。

梶「まぁ、そういうことなら俺は帰らせてもらうぜ？」
高「あ…ちょっと…」
梶「だってよー波土は、3メートル近く吊り上げられていたんだろ？なのに、容疑者である俺たち三人のアリバイのない時間が重なっていないのなら…誰かと誰かが協力してやらかした可能性はゼロ…誰にもできねぇ不可能犯罪なんだからよ！！」

不可能…そういえば彼にもそう言ったことがあった。
あの時は確かカジノが彼が自決する前に未然に防ぐ計画を塗っていて、なおかつそのタイミングが良かった為に最悪の事態を防ぐことができたが、カジノがこちら側でなく、あの行動をすることがなければ、今以上に恨まれる結果になっていたことは明白だ。
さっきからこちらを睨んでいる彼に。

梓「ねぇ何なの？」
安「え？」
梓「さっきからあの男を睨んでるけど何かあるの？」
安「あ、いえ…」
梓「どーでもいいけど早くこの殺し…解決してくれない？変装したままここに長居するのは危険なんだから…」
安「ですよね…」