34話 船幽霊 ページ38
一松side
十「狐優紀ちゃん?狐優紀ちゃん!!」
狐優紀「うぇっ!?な、何?」
さっきから何やら考え込んでいる古早。
いつもならすぐ反応する十四松の声に全く反応せず、ずーっとブツブツ何かを呟いていた。
何かって言うのはもう何を言っているかわからないからなのだけど、
やっぱり今回の兄さん達の事件に関することなんだろうか。
カ「古早大丈夫か?さっきからずーっと考え込んでるが」
狐優紀「えっ?あ〜まぁ大丈夫かな……さてと、天藍!!」
急に進めていた足を止め、空に向かって叫ぶとその場でバク宙して例の妖怪の姿に変わった。
これが一般人には見えないというのだから不思議だ。
傍から見たら人が一瞬で消えたのと同じなのだから。
天藍「お呼びですか狐優紀様?」
狐優紀「まぁ少し聞きたいことがあってな…この近くで船幽霊の目撃情報があったりはせぬか?」
天藍「ありますよ、なんでも今年に入った途端多くなったとか、幸い死人は出てませんけど誰も彼も危篤状態みたいですよ」
天藍と呼ばれて現れたのは猫又妖怪。
聞くところによると古早の忠実なお供らしい。
狐優紀「死人はまだ出ていない、か、となると早く対処せねばならぬのじゃな」
天藍「はい」
一「古早?」
狐優紀「今回の事件、恐らくだけど船幽霊が関わってる、多分閏年に海辺から女の人の声が聞こえるようになるってのもそれが原因だろうね」
じゃあ兄さん達はその船幽霊とやらに襲われたってこと?
狐優紀「また妖界か…」
天藍「おそらく魂だけは持っていかれてしまったかと」
魂だけが妖界に持っていかれてしまった?
そんなのどうやって取り返すんだ。
パニック状態に陥りそうになった時、隣から声が聞こえた。
十「狐優紀ちゃん、僕、妖界に行きたい」
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作者名:スノーローズ | 作成日時:2017年7月9日 0時