29話 ページ30
結貴野side
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ここはどこだろう。
私は見覚えがあるような無いようなな場所を歩いていた。
三角花壇を通り過ぎ、ある敷地に入っていく。
そこで私はふと思い出した。
あぁ、そうだ、ここは私が二か月前まで住んでいた場所だと。
扉の前に立ち、ゆっくりドアノブを回すと鉄のさびたような匂いがツンと鼻を刺した。
ドタバタと部屋に上がると床一面に広がる紅、紅、紅。
その真ん中には変わり果てた両親が……
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結貴野「ああああああ!」
また、あの夢を見た。
嫌でも頭に残るあの情景、身体中がびっしょり汗をかくほど、やけにリアルに脳裏に焼き付いている。
隣では案の定羽実果がうなされていた。
そりゃあそうだ。私も羽実果も同じ過去を持っている。
嫌な過去だ。きっと一生経っても忘れることは出来ない。
あの事件の後、警察は犯人を必死に捜索していたが、ついぞ犯人は出てこなかった。
そして、当然のことながら、私と羽実果はしばらく外に出られないほど傷心し、ショックを受けていた。
警察が犯人を見つけられなかったと知った時、どれほど落胆したか。
気がつくと羽実果も私も自分達の力だけで犯人を捜索していた。
そうして行くうちに現在は暗殺者だ。
もう少しましな人生はなかったのだろうか。
つくづく神様というのは意地悪である。
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作者名:スノーローズ | 作成日時:2017年6月12日 8時