Memory

今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:1,535 hit

第16話ページ18

羽実果side
休日、特にやることもなく暇を持て余していた私達は、家でじっとしているのもなんだからと赤塚区を散策することにした。

いつも通りはするが買い物をした試しがない商店街を抜け、長い橋を渡る。

そのまま行く宛もなくふらふら歩いていくと隣を歩いていた結貴野の足が止まった。

羽実果「結貴野?どうし……」

結貴野の視線の先にあったのは時計が備え付けてある児童公園。

結貴野「羽実果、私ここ知ってる」

再び視線を公園に移すと、午後５時を知らせるパンザマストが鳴り響いた。

それと同時に頭の中を流れるもの。

“記憶”だ。

家に帰って昔のアルバムを探し出し、ページを捲る。そこには見覚えのある六人が写っていた。

羽実果「六つ子……やっぱり昔に会ってたんだ」
結貴野「だから違和感があったんだ…」

自己紹介してすぐにすんなり名前を呼べるなんてことできないはずなのだ。

初対面だったらわずかでも緊張するし、いきなり呼び捨てなんて……少なくとも私にはできない。

結貴野なんか中学でひどい目に遭ってからコミュ障っぽくなってしまった。

他人に対する警戒心は高いし、会話する相手には慣れるまで目を合わせない。

私も人のこと言えたもんじゃないけど。

結貴野と暫くアルバムを見ていると私の携帯の通知音が鳴った。