・ ページ34
・
・
『本当、この不運が無くなるのであればなんでもするくらいなんですけどね。』
はぁ、と思わず溜息をつく。
オリアス先生にバレない程度に深呼吸。
ただでさえ不運なのに幸せまで逃したらたまったもんじゃない。
オリアス「……。
『!!』
キラキラと、魔術で作り出した星が私の周りを照らす。
『こ、れは、オリアス先生、私に家系能力を、!?』
オリアス「まぁね。さ!試しにちょっと歩こう!
俺の星を信じて?」
オリアス先生はパチリとキザにウインクをして私の左手を取り、裏庭から出る。
手を繋いだまま2人で歩いて、人が全く居ない中庭にやって来た。
そこには、
何の変哲もない、ただの夕焼けがあった。
人間界とは違う、魔界の、私の魔力で育った、魔界の夕焼け。
オリアス先生の魔術で生み出された星とは違う、空の星が見える。
夜と昼の狭間。逢魔が時。魔物に出逢うと恐怖される時間。空が青紫色にも、ピンク色にも、黄色にも見える不思議な時間。
恐ろしく、美しい空。
こんなに澄み渡っている空は、生まれて初めて見る。
いつもは見つけると憂鬱な気分になる雲も、今日の空にはいいアクセントだ。
『わ、ぁ、。』
綺麗。
思わず1歩足を踏み出すと、どこからか風に吹かれて来たのか、ブランケットが飛んでくる。
オリアス「今日の夜は冷え込むからねぇ。ソレ、使わせて貰ったら?」
『……えぇ。』
ブランケットの両端を掴んで返事をする。でも、きっとこの声もどこか生返事なのだろう。
『は、じめて、見ました。こんなに綺麗な空。
いつもは、曇ってたり、雨が降ってて、こんな、こんな綺麗になんて、見えなくて。
空って、素敵ですね。』
いつもは、私が空を見上げても曇り空に雨模様。
空は、こんなに美しいんだと、知らなかった。
あぁ、私に羽根が無いのが悔しいな。
今だけでいいから、空に、もっと近づきたい。
あの空を、私の視界いっぱいに広げたい!!
フワリ
『っぇ、』
身体が宙に浮かぶ。
フワフワ、プカプカ、
オリアス「どうかな?俺の星は。」
『オリアス先生!』
やっと空から目線を外すと、私の肩にオリアス先生の左手が乗っかっていた。
先生は羽根を出していないから、私も空を飛ぶ時に使う風魔術の応用か。
前に目線をやると、視界いっぱいに広がる、空。
あぁ、やっぱり綺麗。
・
・
381人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひのや(プロフ) - 名無しのメダカさん» ノリがいいメダカさんナイス過ぎィ!!作者の野望はいつか読者様方の横隔膜も破裂させることです()。野望達成のため夜更かしも程々に作者は寝ます。 (2月7日 23時) (レス) id: cd87d954a1 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのメダカ(プロフ) - ひのやさん» 返しにめちゃくちゃツボったでやんすっww、もう全然ご贔屓にさせていただきますよ。ゲッヘッヘ、これからも更新頑張ってもらうでやんす(悪ノリ) (2月7日 23時) (レス) id: 46b73a4ede (このIDを非表示/違反報告)
ひのや(プロフ) - きゅさん» ふぇぇええぇ、なんのことか、作者わかんなぁぁぁぁい。ふへへへへへへへへへぇ(ビブラートましまし) (2月7日 13時) (レス) id: cd87d954a1 (このIDを非表示/違反報告)
きゅ - えっっっっっっっ((アウトっすよ〜!! (2月7日 13時) (レス) @page20 id: 58ff2b5437 (このIDを非表示/違反報告)
ひのや(プロフ) - 名無しのメダカさん» コメントありがとうございます!げっへっへ、いいんでゲスよ!是非今後ともウチをご贔屓にね、アイィ!!(キモくてすみません) (1月23日 18時) (レス) id: cd87d954a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひのや | 作成日時:2023年7月4日 19時