58minute ページ9
誰かを幸せにしてあげたいと思える人は、満ち足りている人だと聞いた事がある。
１５分おきに記憶を無くすっていう大きな病気を背負っているのに、１日で受け入れるほど満たされたのかな。
淳太のおかげなのかな……。
読み終えると、扉がコンコンとノックされて、男の人が顔を出した。
ああーどっかで見た事があるような、ないような。
これが中間淳太さん。
かっこいいな。
綿菓子みたいなふわふわした雰囲気のある綺麗な人。
繊細な顔の造り。
私、こんな人と一緒に暮らしてるんだ。
すごいなぁ。
淳太はノートを持っている私ににこっと笑って、丁寧に頭を下げた。
「初めまして中間淳太です、あなたのお世話をしています」
その言葉に彼のそばまでとことこ歩く。
距離を近づけて、精一杯背伸びをして頭を撫でた。
ふわふわの髪に手を差し込む。
彼はぎょっと目を見開いて、何か疑うような視線を私に向けてくる。
「ど、どうしたんですか？」
「おはよう、淳太。今日もよろしくね」
「…………淳太って。え？」
彼は自分の名前を反芻すると、私が撫で続けている手をきゅっと握って首を傾げた。
手がじんわりと温もる。
自然に手を握った彼にドキドキとうるさく心臓が鳴った。
ああ、どうやら。
「どうしたんですか？なんかノートに書いてあった？見せて下さい」
淳太は私が抱えているノートを取り上げようとしたけど、それをくいっと後ろに隠す。
いたずらが見つかった子供のようにはにかむと、彼が力が抜けたように笑う。
見せたらダメだって言われたしね。
「ふふ、昨日のAがなんか書いてたんやな。やられたわ。嬉しいよ」
そう言って笑う淳太が本当に嬉しそうで。
昨日の私はどうやらとても愛されていたらしい。
あ、分かった！
この人の事思い出した！
そっか、あの合コンで出会って、私はこの人と付き合ったんだぁ。
そっかぁ。
そうなんだ。
「もう死にたくなくなった？死にたいって思ってない？」
そう聞くと、淳太は私の頬を撫でてこくこくと頷いた。
愛おしげに私を見つめる彼の眼差しに、きゅうっと疼く。
ああ、どうやら。
「A。愛してん、で」
「ありがとう。それがあなたの死ぬことよりも楽しい事？」
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sora142863(プロフ) - 最高です！映像化希望！！笑 (2020年10月10日 23時) (
レス) id: 36c9dca5ef (このIDを非表示/違反報告)
ぎんぎらみりゅう(プロフ) - 号泣ですありがとうございました。 (2018年2月9日 1時) (レス) id: fc7167276a (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - 最後まで読まさせていただきました！ 物語の運び方や言い回しなどが上手で、すぐに引き込まれました。是非とも続編を作っていただきたいくらいです！！この後二人がどうなるのか、とても気になる所です笑 これからも頑張ってください！ (2017年8月24日 23時) (レス) id: cfe68076f8 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - とても素敵な作品でした。終わるにつれてすごく涙が溢れてきました。ほんとにすごくいい作品でした！ありがとうございました！ (2017年6月12日 16時) (レス) id: 568fa35bde (このIDを非表示/違反報告)
ろみこ(プロフ) - 淳太くんを想像して読むととにかく涙が溢れてきました。これから少しづつ記憶を取り戻して、幸せになっていて欲しいな。ありがとうございました。 (2017年2月21日 23時) (レス) id: 374d9ce1d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美柑 | 作成日時：2016年11月27日 1時
