生きる理由 ページ24
「Aさんってさ、」
ポツリ、と小さい声でコナンくんが言った。遠くでは少年探偵団の3人がサッカーをして遊んでいる。
コナンくん、私、哀ちゃんの順番で座っていた時の事だった。
「…その、生きていたく、ない人?」
『!……どうして、そう思うの?』
「だってAさん時折すごく悲しい顔してるし、自分のことに無頓着、だし…」
言いにくそうに目を逸らしながら語る。
私はおもむろに煙草を取り出した。いつもは吸わないのに、何故か無性に吸いたくなった。
カチッと音を立ててライターから火が上がる。
『私は、生きていたいとも思うし、死んでしまいたいとも思うよ』
「っ」
元々死んでしまいたかった。
兄が死んでから楽しいことなんて何も無い。笑うことも減った。
人が変わってしまったようだ、なんて散々言われた。
『だけど最近、生きる理由も見つけちゃったから』
私は生きていなければならない。
ふぅ、と煙を吐く。
わたわたしているコナンくんを横目で見る。
…この子が、研二くんとじんぺーちゃんを死なせた犯人を捕まえてくれた。そう聞いた時私がどんな思いだったか。
こんなこと思ったって何にもならないと分かっているけれど、
『コナンくんがもっと早く居てくれたら、良かったんだけどなあ』
自分でもわかるくらいに声が震えた。
不意に後ろから名前を呼ばれる。振り返るとラフな格好をした零くんがいた。
……聞いてたな。
「迎えに来た」
『どーも』
頼んでないけど。
立ち上がってコナンくんと哀ちゃんに別れを告げる。
「珍しいな、それ」
『あぁ、なんか無性にね』
隣を歩いている零くんの顔に煙を吐いた。
なんか怒ってる。
後ろで私たちを見ているコナンくんをちらりと見て笑った。
……生きたい理由は、これだよ。
「僕だってその意味がわからない訳じゃないからな、ケホッ」
『私なりの愛情表現ですぅ』
723人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あすか@暇人(プロフ) - 初コメ失礼します。続編突入おめでとうございます!続編のリンクをこちらと繋げていただけると嬉しいです…。 (2022年6月3日 20時) (レス) id: a2dc34f4dc (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - milkさん» じんぺーちゃん妹バカなんです笑 (2022年5月24日 7時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
milk(プロフ) - ヤバい、最後の松田さんのところ最高に面白い (2022年5月23日 21時) (レス) @page28 id: 7df2c50704 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!頑張ります! (2022年5月23日 12時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2022年5月22日 23時) (レス) @page27 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かしわ | 作成日時:2022年5月20日 19時