【鬼滅の刃】常識通じないタイプの鬼.弐【トリップ】

ヨンジュウキュウ ページ23

扉に手をかけて
極力静かに開けようとしても
カラ、とごく小さな音がする。

古いだけあって立て付けも悪い。

少し開いて突っかかりを感じた。



「まぁ、通れないことは無いけど……」



実弥くんと義勇さんはどうやって入るつもりなんだろう
ドカァン！って勢いよく入るつもりなのかな。

義勇さんはともかく実弥くんはやりそう。
傷増やすなよ、血出すなよ。吸うからな。

旅人装うとするからな。



「ごめんくださーい」



義勇さんと実弥くんの突撃する気配もない。
今は私の好き勝手できる時間だ。
フィーバータイム。



「どなたかいらっしゃいませんかー？
一晩泊めていただきたくてー」

「おやおや、旅のお方ですかな？」

「こんばんわ、お休みのところ夜分遅くにすみません」



明らかに鬼。
見てわかる、匂いもそうだ。

上手く人に化けてはいるが
同族嫌悪かな
鬼ってちょっと臭いんだよね。

不快感を顔に出さないように
にこり、と目を細めて笑う。



「目が悪くて、暗いところでは全く見えないのです。
日が昇るまでで良いので
ここで休ませていただきたいのですが」

「それはそれは、こんな古い家で良ければ……」

「いいえ、とっても助かります」



頭を下げたのと同時くらいに
頭を下げきる寸前
鬼がにたり、と笑った。

玄関で靴を脱いで上がる。
靴下も巻き込んで脱いだので裸足。

足の裏に血のシミが付きそうだ。
目が悪いと言ってあるから
血まみれの廊下もしれっと歩かされる。

勿体ない。人の血なのに。
鬼より美味しい。

なんで踏まなきゃいけないんだろう。
食べ物を粗末にしてる気分。



「こちらへ」

「ありがとうございます」



通された場所は台所。
今の世の中では厨だっけ。

部屋に通す感覚で当然のように厨に通されるとは。
流し台には研ぎ澄まされた包丁。
調理して食うのかぁ、いい趣味してんなぁ。


ていうか2人遅くない？
静かに入ってきてんの？
それは予想外だぜ。

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