【鬼滅の刃】常識通じないタイプの鬼.弐【トリップ】

ヨンジュウナナ ページ21

実弥くんの唾液でだいぶ楽にはなっているものの
耐え症のない私は
やっぱり辛くて

自分の体調に甘えて
結局影で待つことにした。

影では平気なんだな。
日傘買ってもらおうか……ううん、でもな。



「A」

「まだ体調悪ぃのかァ？」

「最初よりは楽。ありがとね実弥くん」



すい、と目を逸らされた。
なんだよ意識してんじゃねぇよ。

気にするならやるんじゃありません。

義勇さん何したんだ？って顔してるから。

壁に寄っかかるのをやめて
ちゃんと立つと
2人の後ろにいた女の人が
桜ちゃんと手を繋いで前に出てきた。



「娘がお世話になったそうで……」

「あ、いえ。結局私は何もしてないので……」

「そんなことありません。
1番桜に良くしてくれたみたいで……」

「わたしね、大きくなったら、お姉ちゃんみたいになりたい！」



下から大きな瞳で覗き込まれる。

私何かしたかな。
ただ桜ちゃんにでれでれしてただけなんだけど。



「なんか申し訳ないな」



泣いてる子を放っておかない
優しい人とか思われてたら。


(その実は、夜の王になる存在であるしな)


大きくなった桜ちゃんが
歌舞伎町の女王とかになってたらやだなぁ。

被っている羽織りのフードを引き下げて
キラキラの視線から目を逸らす。



「……桜ちゃんに恥ずかしくない生き方しなきゃね」



『ならないほうがいいよ』

その言葉を飲み込んで
無理やり捻り出した言葉。

本当に、ならないほうがいいよ。

よりによって
『恥ずかしくない生き方』

マトモとは程遠い運命を辿っているというのに。

吸血鬼だから死なないのに。




「そろそろいくか、日が暮れる」

「任務だよなァ、暇だし俺も行くわ。
つーか元々俺の任務横取りされてる訳だしなァ」

「好きだねぇ実弥くん、そんなにAと一緒にいたいのぉ？」

「キメェ声出すんじゃねぇよォ」

「義勇さんがヤキモチ妬くからどうしよっかなぁ」

「……別に。問題は無い」




夜を支配するって
最終的には鬼殺隊すら敵に回す事になりそう。
和解出来たらいいんだけどね。

弱点は見せないようにしたいな。

禰豆子ちゃんの技で死ぬけど。

無惨を倒した後になれば
禰豆子ちゃんは人間に戻るだろう。
そしたら技も使えなくなるよね。

それからなら……








……気が早いなぁ、
もう戦う時のこと考えてるのか。

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