【鬼滅の刃】常識通じないタイプの鬼.弐【トリップ】

ヨンジュウサン ページ17

両者睨み合いの状態。
あっちから手を出してくるわけじゃなく

こちらの出方を伺っているようにも見える。

動かないなら体力回復につとめたいが
緊迫状態でそんなことは出来ない。




「ふん、まぁいい。夜ならまだしも
昼だからな」

「童磨もろともどっかで死んでて欲しいなぁ」

「血に飢えているんだろう、俺の血をやろうか」

「はぁ？いらな……っ」




くわん、と
自分の瞳孔の形が変わったのがわかった。

そんな経験なんてないけれど
確かに変わったと自覚するほど
目の感覚がさっきと違う。


罠だぞ。


知ってる。


こいつの血で、鬼が増えるんだ。


でも私も鬼だし。


取り込まれるかもしれない。


別種だし。


別種だからこそだよ。


自分の脳内に自分が2人いる。
天使と悪魔というわけじゃない。

理性と本能。

人格を作るほどせめぎ合うことがあるのか。




「どうした、汗がすごいぞ」

「うるっさいな、アルコール分解してるんだよ……！」

「意味がわからないが、これを持っていろ。
俺の血だ。飢えは凌げるだろ」

「いらない！」



いつの間にか近くにいて
抱きしめられるように、
血の入った小瓶を手に握らされる。

寸前で理性の勝利。

無惨を突き飛ばす勢いで
小瓶を地面に叩きつけた。

無惨はそれを一瞥し、
頭を抱える私を見下ろす。




「勿体ないことをする。
これでどれだけ鬼が強くなると思っているんだ？」

「元人間の畜生風情が……！
家畜の分際で偉そうにしおって……！」




叩きつけた血の匂いが
嗅覚に伝わった瞬間

どくん、と脈打ち
『理性』と呼んでいた私の『自我』が
『本能』と呼んでいた『吸血鬼』のそれに押し負けた。

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