【鬼滅の刃】常識通じないタイプの鬼.弐【トリップ】

サンジュウ ページ1

相手に敵意が無い。

本当に、全く敵意を感じられない。

敵意を少しでも感じられたら
勝手に体が動いて戦えるはずなのに

味方相手ならそれでもいいけれど
目の前にいる鬼は敵。





「まぁ、そう言わないでくれよ。
俺は君と仲良くしたいんだ」

「人食べないって言うなら仲良くしてもいいよ」

「難しい相談だな〜
うーん、君は食べないから仲良くしない？」

「私は鬼だからそもそも食べる気ないだろ？」





あはは、と笑う童磨。

物は言いようだよね。
私がもっと考え無しだったら
いいよぉ！って言ってたかもしれない。

あいつが敵意を見せてくれたら
私は動く。

令和の時代に生きていた私が
いきなり戦えるわけがないんだよな。
戦い方なんて分からないし
勝手に動いてくれる体に頼るしかない。

でもその発動条件が『相手からの敵意』。

少し、少しでいい。





「とりあえず、その刀を置かないか？」

「怖いの〜？」

「知っての通り、それで首を切られると死ぬからね」




持ってるだけの刀を見せびらかすように振り回して

チャリ、と柄を鳴らして抜くふりをすると

分かりやすく目を細めた。

警戒。
敵意。

来た。そう、それ。それを待ってたよ。




「実力行使しかないのかな？
本当は女の子には傷なんてつけたくないんだぜ？」

「お気遣いありがとう。ただで帰ってもらうぜ」




地面を蹴って距離を詰める。

スラリ、と刀を抜くと
青色の刀身が月明かりに反射して
私の目と同じ色で輝く。

相手の武器は黄金地の扇。
さっき炭治郎くんたちと話している時に
血鬼術のことも聞いた。

強い鬼ということは血鬼術を使える。
この鬼はどんな血鬼術を使うんだろう。

まぁ、終わった後に気づくんだろうけど。





「嗚呼、鬼か、鬼だもんなぁ。
鬼殺隊みたいに呼吸の技を使わないんだ」

「呼吸してくれた方が有難いんだ」

「肺を凍らせればそれだけで勝てるからね」

「ふぅん」




扇と刀がぶつかり合って
弾かれる衝撃で距離を取った。

自分から氷属性暴露してくれたわ。
近距離戦は不利か
息を止めてりゃ勝てるか、そんな戦い方になるだろう。

これで勝てなくても
情報共有に回せる。

さらうって言ってたから死ぬことは無いけど
さらわれたら情報共有とか言ってる場合じゃない。

しかも誰も起きないから
ただ私が逃げただけの奴になる。

さらわれたって思考にもならないだろうから
助けに来てくれる保証がない。

サンジュウイチ→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す