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カチャリ、と扉が開かれる。
広い玄関
靴棚の上に飾られた家族写真。
付き合っていた人と
一緒になる人の幼い時の姿。
怖い。
ここを上がると
その先はリビング。
膝丸くんと、ご両親がいらっしゃる。
心臓が大袈裟に脈打つ。
繋がれている指先が震えている。
髭切さんの手がものすごく暖かいから
自分のそれが冷たくなって言っているのを自覚してしまう。
不安そうな顔しちゃダメだ。
堂々としていてもダメだ。
居たくないけど、居ないとダメだ。
「ただいま」
「っ、おじゃまします」
ぎゅっ、と1度強く握られて
現実に引き戻される。
軽く深呼吸をしてから
靴を揃えて段差を昇った。
大丈夫、大丈夫。
なにが大丈夫なのかは分からないけれど
とりあえず落ち着いていないと。
現実逃避だけはしちゃダメ。
怒られても怒鳴られても、私の責任。
自分が悪いんだ。
これから、当然のことが起きるんだ。
別れを切り出した時の膝丸くんも
私に手を差し伸べてくれた髭切さんも
どっちも私を怒ってはくれなかった。
むしろ、怒られたり
怒鳴られたりしたほうが、楽になれたのになぁ……
優しさが、いちばん怖い。
「連れてきたよ」
「な……っ」
無言で頭を下げる。
ゆっくりと顔を上げると、
久しぶりに見る3人は目を丸くしていた。
終わり
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美葵 - 面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2022年12月13日 20時) (
レス) id: 1084734db6 (このIDを非表示/違反報告)
万(プロフ) - すっごくドキドキしながら見てます…！！ 続き楽しみにしてます！ (2022年12月6日 10時) (レス) @page11 id: be844da8b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こまめ | 作成日時：2019年12月25日 0時
