進撃の巨人調査兵団の牙 (ページ3)

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001 副団長になった日の話ページ3

「分隊長！！助けてください！！」

「うぁぁぁぁっ！！分隊長ぉぉぉ！！！」

「イヤだァァ！！！死にたくねぇよぉぉぉぉ！！」

やめろ……

やめてくれ…

もう……楽にしてくれ…

私が…良い子じゃないから…？

私が……弱いから？

判断を…誤ったから？

この世界は残酷だ…

「君は殺さないでおこうかな。またね。」

その声を最後に、真っ暗な世界に落ちた

そして聞こえてくるのは自身を呼ぶ声

「隊……隊長…………ファング隊長！！」

『っ！……なんだメルか…。』

自分を呼ぶ少年(これでも20歳)に驚いた彼女は、調査兵団の中でもリヴァイに並ぶ精鋭

そして、調査兵団特攻隊隊長を務める人物だ

仕事は終わっているのだが、いつもの癖でエルヴィンの執務室で寝ていた

エルヴィンは書類を纏めつつ、こちらを見ている

「団長の前でその態度するの…隊長位ですよ。エルヴィン団長からお話があるそうです。とっとと起きてください。」

では、と言って執務室を出ていった彼は最近入団した新兵でエルヴィンに頼み込んで特攻隊に引き抜いた

まだ若いが、自分が死んだら隊長にさせるつもりらしいとのこと(ハンジ談)

「随分と魘されていたようだが平気か？」

エルヴィンの執務机に腰掛けた彼女は、彼の飲んでいた紅茶を飲んでから平気だと答えた

『あれから……いや、あとどれだけ兵が死ぬのやら。』

Aは嫌な思い出を消すように首を振ると、どれだけ兵が死ぬのかを呟いた

「犠牲も…人類の為だ。…A、頼みがあるんだがいいかい？」

エルヴィンの真剣な表情を見て、こくりと頷いた

「この先、俺は団長として職務を行わなければならない。…補佐として副団長も必要となる。頼めるか？」

口をポカンと開けたままの彼女に、無理か…と笑うエルヴィンだったが…彼女の返答は無理ではなかった

『私でいいのなら引き受けるよ…エルヴィン。けど、少し待ってほしいの。』

「わかった。……A？」

自分の顔に手を添えたままの彼女に、エルヴィンは目を離せなかった

『ごめん……明日には壁外調査でしょ？それまでには答えを出すわ。じゃ。』

名残惜しそうに目を伏せたAは、ハッとしたように手を退け、机から降りて執務室を後にした

エルヴィンが彼女の心を初めて読めなかった日でもあった

そして翌日

調査兵団の副団長が誕生し、伏せていた特攻隊の存在が公に発表された