これが駆け引きだというのならクロスゲームにはならないよ。 ページ10
骸しゃん！と最近私の身近にいる人物の名前が呼ばれるのを微かに耳にする。
しゃん？と気になって周りをキョロキョロと見回すと、廊下の端の方で頭ひとつ抜けている高身長と、その傍らではしゃいだように跳ねる金髪が。
金髪の男の子を見て笑顔のままどこか凄むようにしている高身長、六道君が前触れなくパッとこちらを向く。
突然目があって瞠目する私にニコリと笑いかけてくる六道君。
…いっとくけど私のいるところから彼の立っているところまで廊下の端から端ぐらいの距離がある。
なんとか雰囲気で笑っているのがわかるその距離で、視線を感じとるなんてことがあるのだろうか。
それもこんな生徒がたくさんいる廊下で、常日頃女の子の大量の視線を浴びている六道君が。
戸惑いのままに思わず視線を六道君から外して、目の前の教室に滑り込むように入った。
「無視は酷いです」
後ろから耳元で囁かれる声に、肩を跳ね上げる。
カタリと隣の席を引いて座る六道君を耳を押さえて睨め付けた。
全く、無駄にいい声しやがって…。
どうやら私が彼の声を気に入っていることを既に本人は把握しているらしい。
聞きなれてしまったクフフという特徴的な笑い声すらも歯噛みするほどいい声だ。
「無視なんてした覚えないけど」
なんとなく悔しくなって目があったことを気づいていないふりをする私に、ほぅと物知り顔の六道君。
「僕が君のことを見紛うとでも？」
「会ってまだ数日なんだからあるでしょうよ」
「そうですねぇ…君以外の女性ならあるかもしれません」
…墓穴を掘った。
隙あらば甘い言葉を口にする彼にハァとため息を吐き出す。
「イタリア育ちの男性の」
「言葉は信じない、ですか？」
「…信じない訳じゃないけど」
この数日間幾度と彼に突っぱねた言葉を被せられてムッと唇を尖らせる。
私の話を聞きたいやら知りたいやら言っていた彼との会話はもっぱらこういった他愛のないものが多い。
…さっきの視線に気づくスピードひとつとってもそうだけど、お互いに何かあることは察してるんだろう。
普通に会話していてもどこに端緒があるかわからないから妙に気を張ってしまう上に、六道君はそれを楽しんでいるみたいだ。
うっすらと微笑む綺麗なお顔からまた顔を反らした私の耳に、これまた心地いい笑い声が聞こえた。
これが駆け引きだというのならクロスゲームにはならないよ。
意地を張る女の扱い方を心得ているよね。→←情など持てばその蔓に絡め取られてしまうでしょう？
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サラダ(プロフ) - シオンさん» こちらこそ自分勝手に更新止まってしまって申し訳ないです。ただいま書いては書き直してを繰り返してますのでお見せできる文章になりましたらどうかお楽しみください！コメントありがとうございました！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続きが気になります！自分勝手かもしれませんが、どうか更新よろしくお願いします。 (2019年9月17日 1時) (レス) id: 8d841be347 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！ページもいっぱいになったので次は3章に入っていきます！もう少々お待ち下さい！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - とても面白くて一度に読んでしまいました。 続きが気になる…！(>ω<*) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - きさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません！分岐…考えたこともありませんでしたがそういうのもありですね！落ちは私のなかでは既にきまっていたようなものだったので、私が出来る限りで挑戦させていただきたいと思います！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年3月13日 19時
