尊敬しているかと聞かれれば…ね？ ページ15
同じ境遇の人を探していたのは確かだが、幼少のころ私みたいな嫌に大人びた可愛いげのない子供がいたら嫌だなと何度も思ったことがある。
不遜な態度の赤ん坊を目の前に頬がひきつるのを気合いで抑えて、微笑みに変える。
「随分と遅かったじゃないか、観光でもしていたのか？」
「最愛の教授が待っているのにですか？まさかそんな」
フフフッとこちらに視線を向けもしないムカつく赤ん坊に笑いかけてはいるが、おそらく額には青筋が立っているだろう。
小一時間いるだけで気が滅入りそうな彼の薄暗い研究室の電気と言う電気を全てつけて回る。
嫌な顔をする彼に得意気な顔を返した。
「赤ちゃんのうちから視力が下がったら不便ですよね？あっ、もう手遅れでしたか」
「…無駄なこと言ってないで早くいけ、イノチェンティが五月蝿くてかなわん」
「はいはい、お心遣いありがとうございます！ヴェルデさん」
彼が座っているサイズの小さなオフィスチェアの傍らでこちらを見ているワニのケイマンの背に、彼の好きな日本の栄養ドリンクを置く。
開いた大きな口にはビーフジャーキーを突っ込んでおいた。
満足げだ。
憎まれ口を叩きながらも本音を交えたお礼の言葉は、恐らく察しのいい彼になら正しく伝わっていることだろう。
口煩く鬼畜で、私をいち研究者として育て上げようとしてくれている彼は、私の才能に誰よりも早く気づいてくれた人だ。
親としての包容力とかではないが、本音を吐きやすい気軽な関係であってくれた人。
その小さな体に見合わない知識と経験を蓄えた彼とは父の紹介で出会った。
小学四年生になったばかりの頃初めてフランスに行った時だ。
ガキには興味はないというように研究に没頭していた不思議な赤ん坊を見たとき、真っ先に先天性ミオパチーという病名が浮かんだが、実際は何かの呪いらしい。
興味が涌かないわけではないが、なにやらデリケートな問題なのかもしれないと聞くことは避けている。
私にトラウマを植え付けるまでの残酷な裏の話を聞かせて、いや、関わらせたり、あり得ないほどの知識量をつけることを強要してきたり、とめちゃくちゃひどい人。
変態科学者、マッドサイエンティストとも呼ばれている自称天才。
けれど、私はこの人以上の科学者はいないと、確かにそう思っている。
尊敬しているかと聞かれれば…ね？
隠れた棘では伝わらないことを知っている人。→←私はあんな人をbabyだとは認めないけどね。
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サラダ(プロフ) - シオンさん» こちらこそ自分勝手に更新止まってしまって申し訳ないです。ただいま書いては書き直してを繰り返してますのでお見せできる文章になりましたらどうかお楽しみください！コメントありがとうございました！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続きが気になります！自分勝手かもしれませんが、どうか更新よろしくお願いします。 (2019年9月17日 1時) (レス) id: 8d841be347 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！ページもいっぱいになったので次は3章に入っていきます！もう少々お待ち下さい！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - とても面白くて一度に読んでしまいました。 続きが気になる…！(>ω<*) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - きさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません！分岐…考えたこともありませんでしたがそういうのもありですね！落ちは私のなかでは既にきまっていたようなものだったので、私が出来る限りで挑戦させていただきたいと思います！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年3月13日 19時
