異国の王子様はスマート過ぎる。 ページ13
人気のない自販機の目の前で、突然紡がれ始めた言葉の数々に出かけたため息を飲み込んだ。
少し伸びた襟足を落ち着きなく弄りながら、軽い口調で告げられるのは空っぽな愛の言葉だ。
少なくとも緊張した様子のない彼は、まるで断られるなんてあり得ないとでも思っていそう。
既視感のあるこの状況で思い出すのは幼少のころに必死に伝えようとしてくれていた名も知らぬ男の子と…。
…なんにしろあの頃は面倒だと思っていたが今目の前にいる男よりはあの子のほうがまだ誠実さがあったな。
どっちも名前わからないけど。
「ってことだからさぁ、俺と付き合ってくんない？」
派手じゃなくても、目立たなくても自分の容姿がある程度いいことなんて自覚している。
それ以上の美形を幼少の頃と今、身近に目にしているから目の前の男のように過剰な自信なんて持てないが。
怖がって断ることもできないだろうと、むしろ嬉しいだろ？とでも言いたげな余裕の笑みに、不快感を感じながらハッキリと言う。
「お断りします」
「はぁ？」
案の定深く眉間にシワを刻んだ男は、詰め寄るようにこちらに足を踏み込んでくる。
あぁ、面倒だ。
「意味わかんねぇんだけど、舐めてんの？」
舐めてるのはそっちだろう。
真面目そうな私だったら軽くいけると思ったか？
顔を歪める私の肩をついには自販機に押し付けた男は、バカにしたような表情で私を見下ろす。
…今は助けてくれる人がいないことなんてわかってるよ。
あの頃は後腐れなく穏便に、なんて思ってたけど。
「ッ」
「弱いんだから俺の後ついてきてりゃあ」
「おやおや、告白にしては野蛮な落とし方だ」
どちらかというと落ち着いた和やかな声に何故か顔を青く染め上げる男。
六道君に振り返ることもなく逃げ出した男を呆然と見送って、え、と間抜けな声を出す。
「なに、今の」
「気に入りませんでしたか？」
「…そういう訳じゃないけど、むしろありがたかったけど」
助けないほうが良かったですか？と笑う彼に乾いた笑みが漏れる。
恭弥君と一緒で君も大概不可思議だよね。
異国の王子様はスマート過ぎる。
私はあんな人をbabyだとは認めないけどね。→←似た記憶を所有する人が近くに居ることすらも、私は知らない。
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サラダ(プロフ) - シオンさん» こちらこそ自分勝手に更新止まってしまって申し訳ないです。ただいま書いては書き直してを繰り返してますのでお見せできる文章になりましたらどうかお楽しみください！コメントありがとうございました！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続きが気になります！自分勝手かもしれませんが、どうか更新よろしくお願いします。 (2019年9月17日 1時) (レス) id: 8d841be347 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！ページもいっぱいになったので次は3章に入っていきます！もう少々お待ち下さい！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - とても面白くて一度に読んでしまいました。 続きが気になる…！(>ω<*) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - きさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません！分岐…考えたこともありませんでしたがそういうのもありですね！落ちは私のなかでは既にきまっていたようなものだったので、私が出来る限りで挑戦させていただきたいと思います！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年3月13日 19時
