狡賢く生きてきた私はやっぱり弱虫だ。 ページ27
偶然にも一緒に花を咲かせた二つの小ぶりのサボテンを揃えて玄関先におく。
三年間で初めてというほど日本の家に留まっているのに、置かれないサボテンはまだ花を咲かせていないのか。
結局送り主が誰なのかわからないうちにまた呼び出しを受けてしまった。
このサボテンたちが萎まないうちに足を運んでくれればいい、と花サボテンの中でも日数咲く小さな鉢に見送られて、空港に向かった。
…別に会いたいとか思っているわけではなくて、周期もまちまちの不思議な贈り物の意を知ってみたいだけだけど。
「目が死んでいるぞ」
「それはもともとです」
十二時間以上のフライトを経てたどり着いたドイツ。
宿泊先でパソコンを眺めていたヴェルデさんに辟易する。
いつの間に飛んでいたんだか。
「部下さんが引き取ってくれていたんですか？」
籠に入れられている萎縮しきったコウノトリと目があって、顔を歪める。
「病気や感染症を患っている様子はない、研究過程で回復するだろう」
「…死なずにすんでよかったです」
暴れる元気も無さそうなコウノトリを抱き上げる。
栄養失調のせいで野生としていきられなくなったコウノトリを保護場所から引き取ったのは、その命がもうわずかだと判断を下されたからだ。
「エサ食べないんですか？」
「あぁ、まだヒナだか鳴きもしない」
柔らかい毛並みを撫でて、引き取るときに持たされたらしいこの子についての報告書を見る。
死ぬ未来にある動物を、いろんな国から引き取って研究に参加してもらうこと。
正しい生態の動物を研究に取り入れることを頑なに否定した私に、ヴェルデさんは呆れていたみたいだけど、結果的に命を繋げるような研究内容にしてくれた。
父も積極的に尽力してくれたが、さて引き取った全ての動物をしっかり全快の状態で仕上げてあげることができるのか。
理論上ではなんとでもなるけど、命があるものを使うのは本当に怖い。
このコウノトリにとって私は六道君の憎むべき相手と同じような立場になるのかな。
「A」
「はい？」
「お前がこの間言っていたマフィアの被験者リストの件だが…」
狡賢く生きてきた私はやっぱり弱虫だ。
戯れにならない言葉遊びだね。→←お互いを知って縮まった距離はこれ以上近づくことはない、と。
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サラダ(プロフ) - シオンさん» こちらこそ自分勝手に更新止まってしまって申し訳ないです。ただいま書いては書き直してを繰り返してますのでお見せできる文章になりましたらどうかお楽しみください！コメントありがとうございました！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続きが気になります！自分勝手かもしれませんが、どうか更新よろしくお願いします。 (2019年9月17日 1時) (レス) id: 8d841be347 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！ページもいっぱいになったので次は3章に入っていきます！もう少々お待ち下さい！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - とても面白くて一度に読んでしまいました。 続きが気になる…！(>ω<*) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - きさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません！分岐…考えたこともありませんでしたがそういうのもありですね！落ちは私のなかでは既にきまっていたようなものだったので、私が出来る限りで挑戦させていただきたいと思います！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年3月13日 19時
