君の漆黒の水面に映る私の深緑は良く映える。 ページ46
何で、とこちらを睨むように見る恭弥君の唇は噛み締められている。
彼もこんな風に感情を露にすることがあるんだなと場違いにも笑みが零れた。
いつの間にか握られた手が痛い。
幼児でこの握力ってなんだ、相変わらず彼は規格外だ。
「何でなの」
呟かれるそれに恐らく問い詰める意はない。
意外だ。
彼ならあっさりそうなの、で終わると予想したいたのだが、まぁ少しは寂しがってくれたらなとは思っていたけれど。
「ごめんね」
学校に手続きをしに行ったその足で、両親と恭弥君の家に挨拶に来た。
しまいには仕事の間は家で預かるとまで言い出してくれていたらしい恭弥君のお母様。
気を使って二人にしてくれたのはいいけれど、これではさらに辛くなってしまうな。
いつの間にか当たり前のように目にはいるようになった彼の首元にあるペンダント。
会った頃の無愛想な彼を思って贈ったそれ。
一番初めはお互い無関心だったよね。
あの時、助けたのは、この世界に私を立たせたのは、きっと君だった。
やっと受け入れられると思った矢先だね。
あの時とは逆に、恭弥君が握ってくれた手を私が握り返す。
決して涙を流すことは無いものの、悔いるように歪む彼の表情と、綺麗な漆黒を目に焼き付ける。
きっとそれはもう、もの凄い美形になるんだろうなぁ…。
お父様似だから勿論、その上お母様の教育もしっかり受けてさ、どんな立派なご子息になるのか。
でも、これでよかったのかもしれない。
素敵な男性になるなら、尚更。
…君の輝かしい未来に、私はいなければいい、なんて。
目を細める私を恨めしそうに見つめた恭弥君の腕が、少し荒々しく首元に触れる。
グイッと引っ張られるネクタイ。
えっ、と傾く体に慌てた頃にはもう遅く。
唇に触れる暖かい感触。
すぐに離れたそれ、至近距離で交差する瞳と一瞬で甦る不思議な夢の青年の瞳がまた被る。
不意に手を握っていた彼の手が離れて、私の手に何かを握らされる。
シュルリと音をたてて、緩まる首元とと一緒に彼が離れるのを、呆然と見つめていた。
あぁ、本当に、実に
君の漆黒の水面に映る私の深緑は良く映える。
朝イチにアルバムなんて開くものじゃない。→←絆されたのは私みたいだ。
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ドク(プロフ) - 一話一話、必ず笑うか、感情が動かされます。ピンポイントで笑う箇所を作るのがすごすぎる……そして面白すぎる…！！これからも頑張ってください！！ (10月7日 14時) (
レス) @page10 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - ぴょんさん» 私も貴方の感想の表現の美しさにため息が出ました…。負けないように頑張ります！笑 (2019年3月16日 23時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 言葉の表現が美しくて読むたびにため息が出ます…。これからも陰ながら応援させていただきます。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: a5b956ec79 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - カナさん» ありがとうございます！楽しみにしてくれていると思っただけで創作意欲がわいてきます！頑張ります！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 死に急ぎガールさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです！幼少期の雲雀さんとの何気ない日常はお楽しみいただけたでしょうか笑これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月25日 22時
