頭が良くても性格がそれに伴うわけでは無いんだよね。 ページ40
申し訳なさそうに頭を下げた母が、優しく笑って首を振る恭弥君のお母様に紙袋を手渡す。
中身は家を出るまで悩みに悩んでいた手土産の類であろう。
今までも何度かお邪魔したことのある恭弥君のお家の玄関で交わされる挨拶は、娘を預けるときの礼儀の作法を何度もネットで母が調べていたものだ。
「本当にすみません、お願いします」
「いえいえ、そんなに堅くなる仲でも無いでしょう？恭弥も楽しみにしているみたいなのよ」
Aさんよろしくね、と少し膝を折って頭を撫でてくれる。
友達のお泊まり程度で恭弥君がはしゃぐとは思えないが、とりあえず頷いて頭を下げる。
「よろしくお願いします」
何故私が恭弥君の家に泊まることになったのか、それは父と母の仕事の都合である。
数ヵ月前父から改めて教えて貰った両親の仕事は、まさかの研究者であった。
前世で身近でなかったその仕事内容を聞いてもあまりピンと来るものはなかったけれど、なんと父はその業界では案外優秀な研究者であるらしい。
母は父と同じ研究をしていた折に知り合ったみたいだ。
二人とも頭がいいとは思っていたがまさかそんな特殊な仕事をしていたとは…といつもの落ち着きのない様子しか見ていなかった私は戦慄した。
だがしかし、私への遊び道具に分子構造模型の組み立てセットをプレゼントしてみたり、家のインテリアに回転バランスボールなどの物理学教育玩具を置くなど、なにその分かりにくいアピール。
そんな両親は海外の至るところにラボが存在するらしく、今までは子育てに励むために母の故郷であり子育てにいい環境である日本に留まっていたらしい。
けれど、思ったよりも私が精神的に成長するのが早かった(中身が大人だった)からか、二人ともが家で子育てする必要が無くなったのである。
日本にもある幾つかのラボで海外の仲間と連絡を取りながら研究を進めていたらしい父なのだが、今回は両親とも少し出なければいけなくなったみたいなのだ。
そんなこんなで仲のよい雲雀家に私を預かってもらうことになったのである。
頭が良くても性格がそれに伴うわけでは無いんだよね。
本人は気付かぬ兆候なのだ。→←恭弥君が犯罪者にならないことを祈るよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 493人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ドク(プロフ) - 一話一話、必ず笑うか、感情が動かされます。ピンポイントで笑う箇所を作るのがすごすぎる……そして面白すぎる…！！これからも頑張ってください！！ (10月7日 14時) (
レス) @page10 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - ぴょんさん» 私も貴方の感想の表現の美しさにため息が出ました…。負けないように頑張ります！笑 (2019年3月16日 23時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 言葉の表現が美しくて読むたびにため息が出ます…。これからも陰ながら応援させていただきます。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: a5b956ec79 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - カナさん» ありがとうございます！楽しみにしてくれていると思っただけで創作意欲がわいてきます！頑張ります！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 死に急ぎガールさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです！幼少期の雲雀さんとの何気ない日常はお楽しみいただけたでしょうか笑これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします！ (2019年3月12日 17時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月25日 22時
