「急いで帰りましょうか」 ページ6
蒼白な顔で呟く。
「風君…じゃなくて風師匠」
強烈だった、いや、そんなものじゃない。
攻撃をされた訳ではない。
けれど攻撃を当ててもいない。
彼の姿を見失う度に肩にのったリーチが私の頬を尻尾で叩いて彼の居場所を教えてくれていた。
気温が下がり冷たい風が肌を撫でるのが何とも気持ちいい。
ボタボタと滑り落ちる汗をそのままに、息を乱した様子もない風師匠を見上げる。
木の枝に腰かけていた小さな体が、フワリと目の前に降りてきた。
「今日はここまでですね」
真っ暗な森の中、視界はなんとか相手の居場所を掴めるぐらいで、そのシルエットを追いかけ回して約４時間ほど。
鞄を持った手がプルプルと震えている。
「あり、がとう、ございました」
行きも絶え絶えに膝をつく私の肩からリーチを引き取ってお疲れ様です、と笑う。
「これだけ動ければ確かに土台はできていると言っていいでしょう」
「そう、ですか？」
にしてもただ遊ばれていただけだったような…。
不安になる私をよそに、先程からチカチカと光っている私の携帯を手に取る。
「思ったよりも遅くなってしまいましたね」
「あ、お母さんから着信きてる…」
手元に渡された携帯を受け取って、表示された何件もの着信やメールが恐怖を煽った。
「急いで帰りましょうか」
まるで既に我が家に帰るようにそうおっしゃった師匠が肩に乗ってくる。
先程までの丁寧で穏やかな印象が少し思い直される突然の遠慮のない肩乗りにビックリする。
けれど、この４時間で思い知らされた半端ではない強さに何も言えなくなる。
それに、何となく弟子として認めてもらえたのかな？と嬉しくなったりもして。
「まずは武道の基礎を固めましょう。粗削りですが攻撃になっているのでいろはを知ればもっと磨かれるはずです」
「は、はい」
冷静な分析は辛口だったりもしたが、何となく彼の性格も掴めてきた。
飴と鞭をしっかり使い分けるタイプだ…。
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サラダ(プロフ) - 果蓮さん» ありがとうございます！ある意味この作品の中で一番の拘りである距離感に気づいてくれて嬉しいです笑ゆっくりとスローに近づいて行く二人をどうか見守っていてあげてください。 (2019年2月11日 11時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
果蓮(プロフ) - 初コメ失礼します！マジ尊い…。その一言に尽きますね、何なんでしょう…主人公ちゃん可愛すぎません？雲雀さんとの関係性というか距離感というか、もうすごい好きです！応援したくなるような主人公ちゃんなので、これからが楽しみです！更新頑張ってくださいね！ (2019年2月10日 23時) (レス) id: 01d37867c6 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - もこさん» 有難うございます！風さんのキャラがいまだに私のなかで定まってなくて悩みましたが、こんな感じかな…って思ってます。それはよかったです。その想像を越えるほど強くなろうねっ！主人公ちゃん！！ (2019年1月23日 22時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜！言語違うの忘れちゃってる風さんめちゃくちゃ可愛いです、笑 これから主人公ちゃんは色々な経験をするんだろうなって想像するだけでとても楽しいです…！ (2019年1月23日 20時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月22日 22時
