「今日、見に来なよ」 ページ42
その距離約十メートルほど、足音と共に気配も消していたはずなのに、ピタリと止まるその背中。
ゆっくりとこちらに振り向くのを真っ直ぐ見つめる。
緊張からか手に力が入った。
無表情のままの視線が私を写す。
わかるのは数日前とは全く違う、彼の雰囲気。お互いに動き出さない足。
交差した目でただじっと互いの強さを推し量る。
あの日、終わった頃には居なくなっていた彼は、私の勝負を見てくれていたのだろうか。
「…」
その綺麗な瞳に移る私は、強く、見えているのだろうか。
それともやっぱり眼中に入ってないのだろうか。
動き出さない唇が、焦りを募らせる。
私の戦いにどこか彼の気を不快にすることがあったのだろうか。
途端にあの日の戦いを思い出して、グッと奥歯を噛んだ。
不意に
「今日、見に来なよ」
「えっ」
「僕の真似事をするのなら、見に来なよ。」
今日…やるの？
気になっていた彼の戦闘予告を告げられて戸惑う。
けれど、すぐに彼の言葉を頭のなかで反芻する。
言外にあんなものじゃないよ、と言われたような気がして、何故か、嬉しくなる。
沈んでいた気持ちが一気に沸き上がった。
「っ、絶対！勝ってくださいね、私の憧れた強さを、見せてください！」
まだ、私の手に届かない貴方の強さを見てみたい。
勢いのままに吐き出して。
嬉しい、悔しい。
追い付きたい、追い付かせないでほしい。
ごちゃごちゃになった感情。
でも、悔しさから噛んだ口元が思わず綻ぶのを隠すように彼に背を向け駆け出す。
ブレザーとスカートの中に隠してある武器がカチャと音をたてた。
「学校への武器の持ち込みは僕以外は禁止だよ。でも、許してあげる。君の強さに免じてね」
後ろからかけられた言葉に、彼に多少なりとも認められているような気がした。
少しだけ見えた、耳と頬の赤に雲雀が口角を上げたことをAは知らない。
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サラダ(プロフ) - 果蓮さん» ありがとうございます！ある意味この作品の中で一番の拘りである距離感に気づいてくれて嬉しいです笑ゆっくりとスローに近づいて行く二人をどうか見守っていてあげてください。 (2019年2月11日 11時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
果蓮(プロフ) - 初コメ失礼します！マジ尊い…。その一言に尽きますね、何なんでしょう…主人公ちゃん可愛すぎません？雲雀さんとの関係性というか距離感というか、もうすごい好きです！応援したくなるような主人公ちゃんなので、これからが楽しみです！更新頑張ってくださいね！ (2019年2月10日 23時) (レス) id: 01d37867c6 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - もこさん» 有難うございます！風さんのキャラがいまだに私のなかで定まってなくて悩みましたが、こんな感じかな…って思ってます。それはよかったです。その想像を越えるほど強くなろうねっ！主人公ちゃん！！ (2019年1月23日 22時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜！言語違うの忘れちゃってる風さんめちゃくちゃ可愛いです、笑 これから主人公ちゃんは色々な経験をするんだろうなって想像するだけでとても楽しいです…！ (2019年1月23日 20時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月22日 22時
