まだ、まだだ。 ページ28
まるで敗北を恐れるように力が入っていくナルドの荒々しい攻撃。
焦りから単調になる動きに眉を寄せる。
こちらが攻撃をしなくても矢で傷ついていく姿は、見ていられないものがあった。
飛び退いた場所が、彼のメリケンサックで抉られる。
…早く終わらせてあげた方がいいかもしれない。
さっきからなぜか黒づくめの人たちの殺気が膨らんできている。
私ではなく、彼に。
刀を握り直して、この闘いが始まって初めて私は自ら足を踏み出した。
これを振るう瞬間、いつも頭に思い浮かぶのは雲雀恭弥の動きだ。
左足を軸に、右足は半歩前。
体制を低くしてそのまま抉るように
「ッ！！！グハ！！」
突然私が仕掛けてきたことに驚いたのか目を見開くナルドの胸元を叩く。
一瞬息を詰めて後ろによろめいたのを見て、そのまま左手を叩き込んだ。
死に物狂い、という表情でなんとか踏ん張り乱れた体制から撃ち込んでくる。
こういう時、雲雀恭弥なら…
また無意識に脳内再生して、その映像と被るようにメリケンサックの拳を避け、米神を狙う。
口角をあげた猟奇的な瞳を思い出して、奥歯を噛んだ。
まだ、まだだ。
あの力強さはまだない。
打たれ強いのかふらつく体を地にはつけないように足に力を入れるナルドは、
背後からきつく向けられる殺気に怯えの表情を浮かべる。
長引かせるつもりはない。
彼の背に向く機械仕掛けの腕を見て、また距離を詰めた。
…あの人たち、彼の仲間じゃないの…？
黒服の人たちと同じ、ベルトに付いたエンブレム。
Xを模したそれは、仲間である証ではないのだろうが。
ウィィンと微かに聞こえる機械音から遠ざけるように回し蹴りでさりげなく射線上から弾き出した。
癖になったように刀の柄をクルリと回して、一度はらう。
ビュンッと風を切った音が、トンファーと被って、恥ずかしくなりながらも息を乱した相手を見据える。
…別に、この武器にしたのは私に合ってたからであって彼の武器に似てるからとかそんなんじゃないし。
別に私の動きが彼に似ているのだって彼の真似をした訳じゃないし。
ただ勝手に、彼の動きが脳内に流れてくるのであって…さぁ？
誰に聞かすわけでもない言い訳を並べて、また彼の後ろ姿を思い浮かべた。
彼なら、もっと強く、もっと早く。
もっと…綺麗に…。
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サラダ(プロフ) - 果蓮さん» ありがとうございます！ある意味この作品の中で一番の拘りである距離感に気づいてくれて嬉しいです笑ゆっくりとスローに近づいて行く二人をどうか見守っていてあげてください。 (2019年2月11日 11時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
果蓮(プロフ) - 初コメ失礼します！マジ尊い…。その一言に尽きますね、何なんでしょう…主人公ちゃん可愛すぎません？雲雀さんとの関係性というか距離感というか、もうすごい好きです！応援したくなるような主人公ちゃんなので、これからが楽しみです！更新頑張ってくださいね！ (2019年2月10日 23時) (レス) id: 01d37867c6 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - もこさん» 有難うございます！風さんのキャラがいまだに私のなかで定まってなくて悩みましたが、こんな感じかな…って思ってます。それはよかったです。その想像を越えるほど強くなろうねっ！主人公ちゃん！！ (2019年1月23日 22時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜！言語違うの忘れちゃってる風さんめちゃくちゃ可愛いです、笑 これから主人公ちゃんは色々な経験をするんだろうなって想像するだけでとても楽しいです…！ (2019年1月23日 20時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月22日 22時
