どうしようかな…。 ページ25
どうしようかな…。
だんだんと焦りを浮かべ始める目の前の男。
注意が散漫になり避け損ねた矢が足に掠り唸った。
首もとを狙った横殴りの拳を、下から手のひらで叩き上げた。
シュパンッ、と軽い音でナルドの右手が跳ねあげられる。
風師匠に教わった体術は、ほとんど私より力が強く大きい男が相手なのを想定されていた。
力の入らない部位や、人間の弱点、はたまた力負けする相手をまた力でねじ伏せるやり方など、やることが無茶苦茶だった。
…確か、107の必殺拳法を生み出したことがあるとか言ってたっけ。
まぁ長々と解説されたことは殆ど忘れたけれど、体に叩き込まれたそれはもう形付いたように体が動いてくれる。
さっきから首もとばかりを狙ってくるな…。
見上げたナルドの首には、私と同じようにリング用チェーンに通された指輪がぶら下がっていた。
私の指輪を狙いに来ているということは、戦いの中でこの指輪を盗ったら勝ちになるのか…？
筋骨隆隆な首とチェーンの間には余裕はなく、素手をチェーンに引っ掻けてちぎろうとすれば首を抉りかねない。
ジャケットの内側から感じる硬い感触を確認して、後ろに大きく飛び上がった。
さっきから目が合う師匠は、とても楽しそうにこちらを見ている。
私の成長を微笑ましく見ている、というよりは思ったより実力差があることに私が驚いている様子を面白がっているという方がしっくり来そうだ。
勝つことを信じてくれているというよりかは確信していたんデスヨネ。
来る前の師匠の雰囲気は明らかに緊張感が含まれていたはずなのに…騙された。
途端に気恥ずかしさが沸いてくる。
相手には失礼だが静かに勢い込んでいた私はなんだったんだろう。
ムゥと突然拗ねたように唇を尖らせる私を睨み付けたナルドが所々矢で傷ついた体にさらに力を入れた。
筋肉のある部位が一層盛り上がる。
「…もう、わかってると思いますけど。これ以上は無意味ですよ」
ナルドが目をつり上げる。
警戒していない訳じゃない。
けれど、万が一このまま違う武器を出されたとしても諸々の動き、消耗した体力、またこの状況に関してのメンタル的余裕。
どれをとっても彼から私が遅れをとるものはない。
それに私はまだ"武器"を出してもいなかった。
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サラダ(プロフ) - 果蓮さん» ありがとうございます！ある意味この作品の中で一番の拘りである距離感に気づいてくれて嬉しいです笑ゆっくりとスローに近づいて行く二人をどうか見守っていてあげてください。 (2019年2月11日 11時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
果蓮(プロフ) - 初コメ失礼します！マジ尊い…。その一言に尽きますね、何なんでしょう…主人公ちゃん可愛すぎません？雲雀さんとの関係性というか距離感というか、もうすごい好きです！応援したくなるような主人公ちゃんなので、これからが楽しみです！更新頑張ってくださいね！ (2019年2月10日 23時) (レス) id: 01d37867c6 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - もこさん» 有難うございます！風さんのキャラがいまだに私のなかで定まってなくて悩みましたが、こんな感じかな…って思ってます。それはよかったです。その想像を越えるほど強くなろうねっ！主人公ちゃん！！ (2019年1月23日 22時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜！言語違うの忘れちゃってる風さんめちゃくちゃ可愛いです、笑 これから主人公ちゃんは色々な経験をするんだろうなって想像するだけでとても楽しいです…！ (2019年1月23日 20時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月22日 22時
