「…へぇ」 ページ7
ふむ…。
学生特有の真っ白な体操服に身を包んだAは、A4の紙を片手に廊下を歩く。
ある意味有名人なAは至るところからの視線にも気づかない。
最近ではこの廊下も普通に歩くより走ることのほうが多くなって来ている気がするが、まぁ、かの風紀委員長様ですら走り回っているんだから特に気にすることもないだろう。
と、自分が原因なのにも関わらず、廊下を走っては行けません、と書かれた表示を無視するAは熱心に模造紙を見ていた。
「ふむふむ、…よしっ！！」
気合いをいれるように廊下の向こうを睨み付けたAに教室から様子をうかがっていた生徒たちがビクッと反応を示した。
まだ、春の寒さが残るこの時期、散り始めた桜が視界をちらつくが、そんなことは気にしていられない。
Aが逃げ込んだのは人通りの少ない工事現場。
学校近くのこの場所まで一定の距離を縮めぬまま走り回っていた二人は息すら乱れていなかった。
その場所で一瞬後ろに振り向いたAに雲雀恭弥が眉を寄せる。
…なんだ？
この先は確か行き止まり。
Aを咬み殺すようになった初めのころならいざ知らず、最近ではこんなミスをおかさなかったはずのAに違和感が拭いきれない。
狭い通りを抜けた先、工事道具が所々置かれているそこにAは見当たらない。
逃げられたか、と舌打ちした瞬間。
「っ！！！」
とっさに上げた左腕のトンファーに衝撃が走る。
ヒラリ、と舞うピンクを背景に桜の木から飛び降りてきたAがパンパンに教科書を詰め込んだ学生鞄をトンファーに向かって叩きつけた。
いつもなら会わないはずの視線が一瞬交差する。
が、
動揺したのも一瞬。
次に出した右腕のトンファーがAの横腹にヒットした。
「ぐっ！！」
積み上げられていた砂袋に向かってすごい勢いで飛ばされたAはそのまま立ち上がってくる気配はない。
それを一瞥した雲雀恭弥は踵を返す。
「…へぇ」
その口元に笑みを湛えて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うるふ(プロフ) - サラダさん» いやいや！表現がとても素敵で文章がめちゃくちゃかっこよくて憧れます！！高嶺雪夜って名前だけでもかっこいいのに全然名前負けしてなくてすごい好きです…更新楽しみにしてます！(*´ω`*) (2019年3月1日 17時) (
レス) id: 19d02735e1 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - うるふさん» ありがとうございます！稚拙な文で理解してくれるうるふさんの理解力が凄いだけかと…笑では雪夜のこと応援してあげてください！これからも活躍してくれます！ (2019年2月28日 21時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
うるふ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！描写がとても上手で読みやすかったです！！！個人的に雪夜くんめちゃくちゃかっこよくて好きです！！！応援してます！ (2019年2月28日 19時) (レス) id: 19d02735e1 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - もこさん» 嬉しい限りです！これからキャラ達と一緒にもっと強くなっていくので主人公ちゃんを応援していてあげてください！がんばります！ (2019年1月22日 16時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - この作品とっても好きです！主人公ちゃんが強くなっていくのを楽しみに読ませて頂いてます。無理せず頑張って下さい！ (2019年1月22日 12時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月11日 0時
