強くなりたい。 ページ42
幸い、臓器なんかに損傷はなく、バストバンドと呼ばれる固定帯が取れたあれから一ヶ月後。
拉致されていたあのときなんかは案外軽症なのかもとか思っていたけれど、やっぱり肋骨は骨折していたし意識すれば痛いしでこの一ヶ月は地獄だった。
結局あの事件の真相をリボーン君に聞くどころか、彼は私の前に姿すら表してくれていない。
雪夜から沢田綱吉君が彼の生徒だと教えて貰ったけれど、何を教えている生徒かもわからないわけだし。
わからないことだらけで、時が経つごとに不安になる私とは裏腹に、並盛中の生徒はまた安心した学校生活を送っている。
そんな日の平日。
あのとき見送った黒い背中が本館前の花壇を通りすぎていった。
嘘でしょ…。
新しく買い換えた鞄を持つのも忘れてその背中を追いかける。
後ろから近づいて来ていることに気づいたのか、ピタリと止まった彼の前に回り込んだ。
な、なんであんな重症だったのにもう当たり前のように歩いてるんだ？
彼の爪先から顔にかけてまじまじと見ていると、怪訝な表情で私を見下ろす瞳と目が合った。
「…何」
「怪我…は」
思わずビクリと肩を揺らしてしまう。
ヤバイ、私なんで鞄置いてきたの。
焦りを滲ませる私をよそに、一瞬考えるように開いた口を閉じる。
「彼、高嶺雪夜に聞いた方が早いんじゃない」
「雪夜に？」
ハッとする。
そういえば雲雀恭弥を最初に手当てしたのは雪夜だ。
心当たりがあるが故に、納得してしまう。
うなずく私の手元をチラリと見た雲雀恭弥がゆっくりと口の端を吊り上げる。
「得物をもたないまま僕の前に来るなんて随分と余裕じゃないか」
「へっ？」
さっきの焦りが蘇ってくる。
「そういえば、君は僕のトンファーを使ったんだっけ」
鋭利な刃物のように目をギラつかせて、いつの間にか手に持ったトンファーをいつかの私が真似したようにクルリと一回。
脱兎の如く逃げ出す私は、今回の事で認識した彼との実力差を痛感していた。
募った不安とともに涌き出てくるのはやっぱり鬼ごっこを始めたときと同じ感情だった。
強くなりたい。
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うるふ(プロフ) - サラダさん» いやいや！表現がとても素敵で文章がめちゃくちゃかっこよくて憧れます！！高嶺雪夜って名前だけでもかっこいいのに全然名前負けしてなくてすごい好きです…更新楽しみにしてます！(*´ω`*) (2019年3月1日 17時) (
レス) id: 19d02735e1 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - うるふさん» ありがとうございます！稚拙な文で理解してくれるうるふさんの理解力が凄いだけかと…笑では雪夜のこと応援してあげてください！これからも活躍してくれます！ (2019年2月28日 21時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
うるふ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！描写がとても上手で読みやすかったです！！！個人的に雪夜くんめちゃくちゃかっこよくて好きです！！！応援してます！ (2019年2月28日 19時) (レス) id: 19d02735e1 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - もこさん» 嬉しい限りです！これからキャラ達と一緒にもっと強くなっていくので主人公ちゃんを応援していてあげてください！がんばります！ (2019年1月22日 16時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - この作品とっても好きです！主人公ちゃんが強くなっていくのを楽しみに読ませて頂いてます。無理せず頑張って下さい！ (2019年1月22日 12時) (レス) id: fb2eac157c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年1月11日 0時
