夏祭り7 ページ49
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一体何が起きているのか理解が追い付かない。え?光原先輩がビッグスター?こんなに囲まれるほどの?
〈やばい!光原が囲まれた!集まれる人!至急ステージ前に!〉
そのインカムの声でハッとする。とにかくこの混乱をどうにかしなくちゃ!幸い私は光原先輩と一緒に、輪の中心にいる。
『皆さん!落ち着いて下さ…』
「光原くん!今年はスタッフ側で参加してるんだよね?スタッフとしての夏祭りはどうですか!?」
『ちょ…』
「光原くん!取材させてもらってもいいかな!?カメラさん、早く!」「一緒に写真撮ってぇ!」
駄目だ…。私の声なんて聞こえてない。それよりかどんどん輪の外側へ押しやられ、とうとう投げ出された。そこでは係関係なく執行部が集まり、解散するよう大声で呼びかけている。私も呼びかけようとしたとき、子どもと目が合った。
「あっ!お姉ちゃん!」
先ほど迷子だった子が、しっかりと母親と手を繋いで私を見上げる。繋いでいない手には金魚が入った袋が未だにぶら下がっていた。どうやらたまたま居合わせたらしい。
「ねぇ、これ、何が起こってるの?」
『う、うーん…お姉ちゃんにもわからないんだよね。危ないから離れててね』
「カメラ回すからスペース開けて!」
その時、ひと際大きい声が聞こえ、輪が一回り大きくなった。そのせいで、大人がその子にぶつかる。
「わっ…!!」
その衝撃で、金魚袋が手から離れ地面へと落ちた。
『危ない…!!!(踏まれたりなんかしたら!!)』
「うわぁーん!!!!」
ぶつかった衝撃なのか、それとも金魚のことに気づいてか…何時間かぶりの泣き声が耳に響く。なんとか踏まれる前に金魚袋は拾い上げたが…。
『(夏祭りなのに…誰かが悲しい思いをしたり、泣いている)』
思い出すのは「楽しくやりたかったのに…なんでこんなことになっちゃうんだろ…」という、準備のときに会った女の人の言葉。まさに今、そんな状況になってる。大の大人たちが…引き起こしてる。
『…はい、金魚は大丈夫だったよ。…待っててね、お姉ちゃんがガツンと言ってくる』
金魚袋を渡し、無理やり体をねじ込ませ輪をかき分けていく。徐々に見えてきた中心では、光原先輩がカメラへ手の平を向け撮られないようにしながら、記者さんらしき人と話していた。そんな状況でも、周りの人たちは勝手に携帯電話やらを向けシャッターを切っている。
『あの!!!!』
私は怒りがふつふつと沸いていた。
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みびみやこ(プロフ) - チックタックさん» コメントありがとうございます!書きたいことが多すぎて中々発展しなくて申し訳ないのですが、そう言ってくださると嬉しいです!こだわっていきたいと思います!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月23日 18時) (レス) @page42 id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
チックタック - 話の内容がすごく作りこまれている! (2021年9月23日 14時) (レス) @page43 id: b901e895c9 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 面白い!?!?ありがとうございます!少しずつではありますが進めていきます!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月17日 20時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - すごくおもしろいです!無理のない範囲で更新頑張ってください (2021年9月17日 20時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - にら。さん» 返信遅くなり申し訳ございません。好きというコメントありがとうございます!これから定期的に更新していければと思いますので、読んで下さると嬉しいです!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月14日 18時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2020年9月18日 23時