転スラの世界に転生したら魔王になった件

魔王人生28 ページ31

Aside

『ｯ……はぁ…。

　ねぇ全ちゃん、私の心配してたのって……これ…？』


終戦後、私は激しい目眩と吐き気がした。

今までの自分と同族の人間を殺めたからだろうか？

それとも、中央テントと南テントを同時に攻撃したからだろうか？

腹がグツグツと煮えたぎるような、憎悪の感覚にも似ている。

だが、この感覚を、私は自身の用いる語彙では語れないだろう。


《 ＿＿全知全能之王の再起動指令を確認。

　 再起動を実行しますか？》


……あぁ、そうだった。

私は全ちゃんにこの光景を見せないようにと、あらかじめ電源を切ったのだった。

全ちゃんは根源とされる魔力が無ければ、電源が切られてしまう。

まぁ簡単に言えば、スマホの電源を切ったのと同じだ。


『＿＿まだダメ。全ちゃんには血の一滴も見せない。

　だから……まだ眠っていてね、全ちゃん。』


全ちゃん、私って本当、おかしいよね。

こんなにも無慈悲に、悲惨に、残虐に。

人を殺めてしまったのに。


《 ＿＿了。》


聞きなれない、でもどこか懐かしい機械音が、ただポツリとこの場に残った。


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水龍国ナイア in 西方聖教会西テント

輪廻side


丁度、西テントに着いた頃だったろうか。

大きな魔力の波動を悟り、上空を見上げる。

上空には開戦の狼煙とされる、A様のユニークスキル。

威力は凄まじく、A様は、対象人物を重力で押し潰すそうだ。


『＿＿まさに、天災と呼ぶべきだな。』


さぁ、我が主の御心のままに、さっさと悪夢をおわらせてしまおう。


『＿＿ユニークスキル：羅朱羅紺(らしゅらんかん)』


辺り一面が焼け焦げ、枯れ果てた砂漠のようになる。

だが我(わたし)には、西方聖教会の断末魔も、荒れ果てたこの地も

何もかも、どうでもいいと思ってしまった。

我にある思いはただ1つ。


早く家に帰らねば。


それだけだった。

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