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映画館の暗がりの中,客席の背もたれのかげから姿を現したのは,もはやおなじみとなったあいつである。頭がカメラで,黒スーツ,パントマイムをする映画泥棒。



[劇場内での映画の撮影,録音は犯罪です。法律により十年以下の懲役,もしくは一千万円以下の罰金またはその両方が科せられます]



ナレーションが流れる中,映画泥棒は投光器の光に追い詰められ,慌てふためいている。



[不審な行為を見かけたら,劇場スタッフまでお知らせください。NO MORE 映画泥棒]







映画館の暗がりの中,客席の背もたれのかげから姿を現したのは,映画泥棒だ。いつものようにパントマイムを始めた映画泥棒,その背後二人の男と女が立った。



スパンッ‼︎



「『しつこい。人が黙ってたら何回映画泥棒すれば気が済むんだいアンタは(気が済むんだテメーは)』」



丸めたパンフレットで映画泥棒の頭をスパン叩いたのは,坂田銀時と雷鳴Aだった。何も撮ってない,と首を降る映画泥棒に,銀時は冷ややかに言う。



銀「何も盗んでない?いいえ,アナタはとんでもないものを盗んでいきました。」



続いてAも,


『映画見に来るたびに二回も三回も同じ過ちを。銀時ぃ,コイツ確か前の《新訳紅桜》の時も来てたよねぇ』



来てない,とマイムで答える映画泥棒を銀時とAはやはりパンフで叩きまくる。



銀「とぼけんじゃねーよ。前も,どや顔でパントマイムやってただろーが!」



『アンタの気色悪いパントマイムなんて,こっちは毛ほども興味ないのさ。長い予告映像で疲れた客席の空気も読めないのかい,あ?人様の貴重な時間奪って。』



銀「てめーは,もうアレだ,時間泥棒だ。NO MORE 時間泥棒!いいからさっさと映画始めろっつーんだよバカヤロー!」



二人は声を荒げたあと,劇場版銀魂を観にきたお客さんに詫びた。



銀「すいませんね,なんかゴタついちゃって。」



『もう始めるから,すぐ始めるから。アンタも謝りなコラ』



二人がもう一度頭を叩くと,映画泥棒は大きく両手をあげたあと,オーバーに土下座のマネをした。動きに合わせて,二人はセリフをつける。



「『まことに,申し訳ございませんでした〜…って,パントマイムで謝んな!』」



またスパンと映画泥棒を叩く。

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作者名:96猫グラさん | 作成日時:2014年12月30日 12時

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