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映画館の暗がりの中,客席の背もたれのかげから姿を現したのは,もはやおなじみとなったあいつである。頭がカメラで,黒スーツ,パントマイムをする映画泥棒。
[劇場内での映画の撮影,録音は犯罪です。法律により十年以下の懲役,もしくは一千万円以下の罰金またはその両方が科せられます]
ナレーションが流れる中,映画泥棒は投光器の光に追い詰められ,慌てふためいている。
[不審な行為を見かけたら,劇場スタッフまでお知らせください。NO MORE 映画泥棒]
*
映画館の暗がりの中,客席の背もたれのかげから姿を現したのは,映画泥棒だ。いつものようにパントマイムを始めた映画泥棒,その背後二人の男と女が立った。
スパンッ‼︎
「『しつこい。人が黙ってたら何回映画泥棒すれば気が済むんだいアンタは(気が済むんだテメーは)』」
丸めたパンフレットで映画泥棒の頭をスパン叩いたのは,坂田銀時と雷鳴Aだった。何も撮ってない,と首を降る映画泥棒に,銀時は冷ややかに言う。
銀「何も盗んでない?いいえ,アナタはとんでもないものを盗んでいきました。」
続いてAも,
『映画見に来るたびに二回も三回も同じ過ちを。銀時ぃ,コイツ確か前の《新訳紅桜》の時も来てたよねぇ』
来てない,とマイムで答える映画泥棒を銀時とAはやはりパンフで叩きまくる。
銀「とぼけんじゃねーよ。前も,どや顔でパントマイムやってただろーが!」
『アンタの気色悪いパントマイムなんて,こっちは毛ほども興味ないのさ。長い予告映像で疲れた客席の空気も読めないのかい,あ?人様の貴重な時間奪って。』
銀「てめーは,もうアレだ,時間泥棒だ。NO MORE 時間泥棒!いいからさっさと映画始めろっつーんだよバカヤロー!」
二人は声を荒げたあと,劇場版銀魂を観にきたお客さんに詫びた。
銀「すいませんね,なんかゴタついちゃって。」
『もう始めるから,すぐ始めるから。アンタも謝りなコラ』
二人がもう一度頭を叩くと,映画泥棒は大きく両手をあげたあと,オーバーに土下座のマネをした。動きに合わせて,二人はセリフをつける。
「『まことに,申し訳ございませんでした〜…って,パントマイムで謝んな!』」
またスパンと映画泥棒を叩く。
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作者名:96猫グラさん | 作成日時:2014年12月30日 12時