シヲリ ページ7
緑色side
目の前の少女____Aは、一言も話すことなく黙々と食事をとっていた。その光景に違和感しか湧かず、どうにも居心地が悪い。
されど、同時に、居心地が良いと感じてしまうのも事実だった。
cn「みっどぉまた野菜残ってるぞー」
md「…ｵﾚピザがいいって言ったのに」
cn「昨日もピザだったじゃん！もっと俺の体も労わって？」
まだ、恐らく20代前半であるにも関わらず、30代のおっさんみたいなことを言うコンちゃん。連日ピザだっていいじゃん、なんて文句は一応控えた。
そのとき、外からやけに煩い声が聞こえた。
ru「うるさっ…こういうの最近増えてきたよね…宗教かなんかかな」
お前が言えたことか、とも思ったが言わなかった。
恐らく昨夜も見たあの集会関連だろう。
cn「あー、なんだっけ？”夜明ケノ会”っつったっけ？こないだも裏路地の広場で集会してたわ」
rd「…夜明けねぇ…」
らだおくんが小さく呟く。夜明けなんて馬鹿馬鹿しいとでも思っているんだろうか。それとも、密かに待ち望んでいるんだろうか。…あるいは、その両方か。
この町に、希望みたいな、未来みたいな、明るい朝が訪れることは無い。過ぎる時間は時計が示すけど、空の色が変わることは無い。
その名の通り、いつまでも、闇に包まれたままの町。
…まるで、そこで暮らす俺たちのことも暗示してるみたいで、嫌気がさす。
rd「みどりー？ゲームしよーぜー」
…こんな町で、俺の、俺らの光は、らだおくんだけだった。
何も考えてないようで、実は一番俺らのこと考えてくれてる。
md「…また俺がボコしてあげる」
rd「あれはたまたまだろ。あ、Aもする？」
Aは首を横に振り、小さい歩幅でらだおくんの隣に行って座った。
rd「あ、見るだけでいい？てかそっか、見た感じまだ7、8歳とかだからゲームわかんないか」
cn「今時の子は早くからゲームとかしてるらしいよ？」
rd「えﾞっ、なにジェネレーションギャップってやつ？こわぁ年感じるわ」
らだおくんだってまだ若いくせに、コンちゃんみたいなことを言う。
ひとつため息をついて、Aとは逆のらだおくんの隣に座り、ゲームを始める。
…違和感。
してることは普段と変わらないはずなのに、どことなく、違和感を感じた。
久々に開く本の、栞の挟まっているページが、何故だか読んだことがないように感じるみたいな、そんな些細なもの。
でも、それは確かに、小さな亀裂であった。
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←現レ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
舞コンブ神楽(プロフ) - あんみつさん» コメントありがとうございます！めっちゃ励みになります…！ (4月1日 0時) (
レス) id: 359379e1ca (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - ファ/イ/ト/ソ/ン/グの世界観大好きなので凄く面白いです！これからも楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (3月15日 11時) (レス) @page7 id: 8881878887 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：舞コンブ神楽ﾁｬﾝ | 作成日時：2023年12月15日 14時
