4 コハル ページ7
私とユウトは長い付き合いだ。
だから、ユウト本人も気づいていない癖も分かる。
例えば、さっき。
ユウトは嘘を吐くとき、右頬を掻く癖がある。本人は無意識なのだろうけど。
何故ユウトが私に嘘を吐いたのだろうか。私はユウトが嘘を吐くところを見た事はあるが、吐かれたことは無い。
『…ユウト。』
嘘吐いてるでしょ、と云いかけたが
「ほっとけっつってるだろ!」
遮られた。知られたくなくて、嘘吐いたんだから、そりゃそうか。
『…そっか。』
私だって一応マフィアだ。表情で何となく隠している事が良からぬ事だと分かる。
『ごめんね。』
___異能力【第三の目(サードアイ)】
…へぇ、Weiβ、かぁ。
話は昔、太宰さんや姐さんから聞いた事があった。
『ユウト、両親がいないんだもんね。』
Weiβに入った事も納得がいく。
ユウトがヨコハマに来た理由は分かったから良しとしよう。ただ、また新たな問題が浮上した。
ユウトと敵対しなくてはならない。
いくらポートマフィアと云えども、幼馴染みは傷つけたくは無い。しかし、たった1人だった私を拾ってくれた鷗外様を裏切る事は絶対したくない。
__落ち着け、私。
アジトに来るのはユウトとは限らない。むしろ、記憶を見る限りユウトは最近入ったのだから、戦力として来る可能性は低い。
その日はずっと、それしか頭に無かった。
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「…成程ね。」
薄暗い部屋の中、鷗外様は一言呟いた。
私が伝えたのは、近い内に襲撃があるということ、襲撃の際に戦闘に参加させてほしいこと、その際に、顔を知られては拙い人が居るということ。
「それならハルちゃんはフードを被ればいい。中原君は今日は居ないからね、主戦力の君が居ないと困る」
確かに、中也さんは今日は居ない。私がしっかりしなきゃ!
__何時でも来なよ、私の居場所は、ポートマフィアは潰させない。
私は、フードを被った。
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作者名:神楽小夜・コハル | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月14日 12時