1 神楽小夜 ページ4
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転校した先は特に何もない平和な高校。
普通に運動部もあり、普通に文化部があり、普通に授業があり、普通に昼休みがある。
心の中で俺は叫んだ。
＿＿＿前の高校とかわんねえじゃねえかチクショオオオオオオォォォォ！！！！
あくまでも心の中だ。
誰かに聞こえるわけでもない。
そのかわり俺の場合はよく顔に出るらしい。
まあ昔不良だったとはいえ、
別に校則を破ったりはしてない。
...つもりだ。
「お前さ、彼女とかいんのか？」
「おお！それ俺も聞きたい！！」
...俺が座る席のまわりにはいつの間にか野次馬共が寄ってきていた。
初日の昼休みとはこんなに暇にさせてくれないのだろうか...さっさと帰りたい。
しかしこの高校に転校したのには理由があった。
それは資料書に書かれていたことだった。
ポートマフィアの一人は高校生に扮していて、
この学校のどこかにいるのだという。
性別は女で、超能力を持っているらしい。
...超能力というところに関しては信じていない。
例えシュバルツがサイコキネシスとか読心とか未来予知とかの能力持っていたとしても、
シュバルツ以外に能力者がいるなんて...一体何者なんだ。
「「彼女！彼女！彼女！」」
...突然の彼女コールに目が覚めた。
というか、何故彼女の話なんだ！
完全にまわりの野次馬共は盛り上がってる。
「ねえねえ！親は何の仕事してんの？」
「ああ！あたしも聞きたい！！」
...彼女から両親の話に切り替わった。
俺は動揺した。
両親なんて...昔死んじまったんだ。
俺の中のモヤモヤが次第に大きくなる。
これはつまり...ストレスがたまってるんだ。
そのストレスが限界を達して、
ついに俺はカッとなって席を立った。
「あのなあテメエら！！
勝手に他人のプライバシー話で盛り上がってるんじゃねえよ！！
俺の両親はな！もういねえんだよ！！」
俺は大声で叫び、
吐き出すように怒鳴った。
まわりの野次馬共は水を打ったように静かになった。
教室の外のやつらもそれが聞こえていた。
両親のことなんて聞かれたくなかった。
俺はモヤモヤを背負い込んで教室を去った。
そして屋上で日向ぼっこをしていた。
寝転がって青空を見上げていた。
＿＿今日はこんなに晴れてるんだな...。
そう思っていた。
「今日は晴天だね、ユウト。
あと久しぶり。」
突然顔を覗き混む同じ学年の女子。
慌てて起き上がってその顔を見た。
...その子は幼馴染みのハルと同じ顔をしていた。
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作者名：神楽小夜・コハル | 作者ホームページ：
作成日時：2017年1月14日 12時
